ETH(イーサリアム)とは?

イーサリアムは、送金だけでなく、スマートコントラクトや分散型アプリを実行できる公開ブロックチェーンです。
開発者はイーサリアム上に、暗号資産、金融サービス、NFT、ゲーム、会員証、投票システムなどを構築できます。
ネイティブ通貨のETHは、送金、取引手数料、ステーキング、DeFiの担保、NFTの売買などに使用されます。
イーサリアムはブロックチェーンの名称であり、ETHはそのネットワーク上で使用される暗号資産です。
この記事では、イーサリアムの仕組み、スマートコントラクト、ステーキング、ETHの供給、レイヤー2、対応ウォレット、メリット・デメリットについて解説します。
イーサリアムとは?

イーサリアムは、プログラムをブロックチェーン上で実行し、特定企業のサーバーだけに依存しないアプリを構築できる分散型プラットフォームです。
2013年にVitalik Buterinが構想を公開し、Gavin Wood、Joseph Lubin、Jeffrey Wilckeら複数の共同創設者や初期開発者がプロジェクトへ参加しました。
2015年7月30日に、最初の公開ネットワークであるFrontierが始動しています。
イーサリアムでは、利用者が秘密鍵で取引へ署名し、世界各地のノードが取引やスマートコントラクトの処理結果を検証します。
2022年9月15日のThe Merge以降は、ETHを預けたバリデータがブロックの提案と承認を担当しています。
ETHは、イーサリアム上で処理を実行するための手数料として使われます。
また、ネットワークを保護するステーキング、DeFiの担保、トークンやNFTの売買などにも利用されます。
イーサリアムには、ネットワーク全体を所有したり、単独でルールを変更したりする企業はありません。
バリデータ、ノード運営者、クライアント開発者、アプリ開発者、ウォレット事業者、利用者などが、それぞれ独立して参加しています。
Ethereum Foundationは、研究、開発支援、助成、教育などを行う非営利組織です。
ただし、Ethereum Foundationがネットワーク上の取引を承認したり、すべての参加者へ変更を強制したりする権限を持つわけではありません。
プロトコルの改善案は、Ethereum Improvement Proposalとして公開されます。
複数の開発チームが対応ソフトウェアを実装し、バリデータやノード運営者が更新版を採用することで、ネットワークへ変更が反映されます。
Geth、Nethermind、Besu、Erigonなどの実行クライアントと、Lighthouse、Prysm、Tekuなどのコンセンサスクライアントが開発されています。
複数の実装を利用することで、一つのソフトウェアの不具合がネットワーク全体へ与える影響を抑えられます。
イーサリアム自体が正常に稼働していても、個別のスマートコントラクト、ウォレット、取引所、ブリッジが安全であるとは限りません。
利用するサービスごとに、運営者、監査状況、権限設定、過去の障害などを確認する必要があります。
以下に、イーサリアム(ETH)の基本情報を一覧表でまとめました。
| 名前 | イーサリアム(Ethereum) |
|---|---|
| 単位 | ETH |
| 最高発行枚数 | 固定上限なし(新規発行とバーンによって供給量が変化) |
| 使用開始日 | 2015年7月30日 |
| 作成者 | Vitalik Buterin、Gavin Wood、Joseph Lubinら共同創設者・初期開発者 |
| コンセンサスアルゴリズム | Proof of Stake(Gasper) |
| 主な用途 | 取引手数料、ステーキング、送金、DeFi、NFT、担保、スマートコントラクト |
| スマートコントラクト対応 | 対応(Ethereum Virtual Machine) |
| チェーンの名称 | Ethereum Mainnet |
| 公式サイト | Ethereum公式コミュニティサイト |
イーサリアム、ETH、イーサリアム上で発行されるトークンは、それぞれ意味が異なります。
主な違いは以下のとおりです。
| 名称 | 主な役割 | 具体例 |
|---|---|---|
| イーサリアム | 取引やプログラムを実行するブロックチェーン | Ethereum Mainnet |
| ETH | 手数料やステーキングに使うネイティブ通貨 | ガス代、担保、送金 |
| ERC-20トークン | スマートコントラクトによって発行される代替可能な資産 | ステーブルコイン、ガバナンストークン |
| NFT | 個別の識別情報を持つデジタル資産 | 会員証、ゲーム資産、デジタル作品 |
イーサリアムの特徴

イーサリアムは、スマートコントラクトを実行するEVM、ETHを使ったProof of Stake、トークン規格、レイヤー2などを組み合わせています。
ここでは、イーサリアムを理解するうえで重要な特徴を解説します。
スマートコントラクトを自動的に実行する
イーサリアムでは、条件に応じて処理を実行するスマートコントラクト(自動実行されるプログラム)をブロックチェーン上へ配置できます。
たとえば、利用者から資産を受け取った後に別のトークンを渡す処理、担保価値が下がった場合に資産を清算する処理、投票結果に応じて資金を移動する処理などを実行できます。
スマートコントラクトは、特定企業のサーバーだけで実行されるのではありません。
イーサリアムのノードが同じ入力とプログラムを使い、同じ処理結果になることを検証します。
一度配置されたスマートコントラクトは、設計によっては開発者でも変更できません。
管理者権限を残す場合は更新できますが、その権限を誰が持ち、どこまで変更できるかを確認する必要があります。
Ethereum Virtual Machineでプログラムを実行する
スマートコントラクトは、Ethereum Virtual Machine(契約を実行する共通環境)で実行されます。
開発者は主にSolidityなどの言語でプログラムを作成し、EVMが読み取れるバイトコードへ変換してイーサリアム上へ配置します。
EVMでは、送金、残高更新、条件分岐、データ保存、別のスマートコントラクトの呼び出しなどを処理できます。
同じEVM仕様へ対応するブロックチェーンでは、Ethereum向けの開発ツールやスマートコントラクトを活用しやすくなります。
ただし、EVMへ対応していても、ネットワーク、通貨、流動性、安全性はそれぞれ異なります。
利用者アカウントとコントラクトアカウントが存在する
イーサリアムには、秘密鍵で操作するアカウントと、プログラムによって動作するアカウントがあります。
秘密鍵で管理するアカウントは、EOA(秘密鍵で操作する口座)と呼ばれます。
一般的なウォレットで作成されるアドレスは、主にEOAとして利用されます。
スマートコントラクトを配置すると、コードを持つコントラクトアカウントが作成されます。
コントラクトアカウントは、利用者から取引を受け取ったり、別のコントラクトから呼び出されたりすると処理を実行します。
2025年のPectraでは、EOAが取引中にスマートコントラクトのような機能を利用できる仕組みが導入されました。
対応ウォレットでは、複数操作の一括実行、別の通貨による手数料負担、復旧機能などを実装しやすくなります。
ただし、プロトコルが対応していても、利用するウォレットやサービスが機能を実装していなければ利用できません。
Proof of Stakeでブロックを承認する
イーサリアムは、ETHを預けた参加者が取引を承認するProof of Stake(保有資産を使う承認方式)を採用しています。
自分でバリデータを起動する場合は、最低32 ETHを預け、実行クライアント、コンセンサスクライアント、バリデータクライアントを稼働させます。
イーサリアムでは12秒ごとにスロットが設けられ、そのスロットを担当するバリデータがブロックを提案します。
他のバリデータはブロックの内容を検証し、正しいと判断したチェーンへ投票します。
32スロットで一つのエポックを構成し、正常に稼働している場合は約15分でブロックがファイナライズされます。
正しく参加したバリデータは報酬を受け取りますが、停止中は報酬を失い、矛盾するブロックへ署名するなどの不正行為ではスラッシング(預けた資産を削減する罰則)を受ける可能性があります。
承認に参加する仕組みやPoWとの違いをさらに確認したい場合は、PoSの仕組みとステーキングとの関係を初心者向けに解説した記事も参考になります。
32 ETH未満でもサービスを通じてステーキングできる
自分でバリデータを起動するには最低32 ETHが必要ですが、ステーキングプールや暗号資産取引所などを利用すれば、少額から参加できる場合があります。
サービス運営者は複数利用者のETHをまとめてバリデータを運用し、手数料を差し引いた報酬を利用者へ分配します。
一部の分散型サービスでは、預けたETHの代わりにリキッドステーキングトークン(預けたETHを表す資産)を受け取れます。
このトークンをDeFiで利用しながら、ステーキング報酬を得られる場合があります。
ただし、リキッドステーキングトークンはETHそのものではありません。
発行元のスマートコントラクト、バリデータ、価格のずれ、流動性などのリスクが追加されます。
ステーキングを終了したバリデータの出金には待機列があり、ネットワークの状況によって受け取りまでの期間が変化します。
取引手数料としてガス代を支払う
ETHの送金やスマートコントラクトの実行には、処理量に応じたガス(処理量を表す単位)が必要です。
単純なETH送金より、複数のトークン交換やNFT発行など、複雑な処理の方が多くのガスを使用します。
支払う手数料は、使用したガスの量と、1ガス当たりの価格によって決まります。
ネットワークが混雑すると、取引を優先して処理してもらうための手数料が高くなる場合があります。
手数料は、プロトコルによって決まるベースフィー(混雑に応じて変わる基本料)と、バリデータへ支払う優先手数料などに分かれます。
ベースフィーとして支払われたETHはバーンされ、流通へ戻りません。
一方、取引が失敗して処理結果が元へ戻った場合でも、実行に使用したガス代は支払う必要があります。
新規発行とバーンによってETHの供給量が変化する
ETHには、ビットコインの2,100万枚のような固定された最高発行枚数がありません。
Proof of Stakeへ参加するバリデータへの報酬として、新しいETHが発行されます。
発行量は、ステーキングされているETHの総量やバリデータの参加状況などによって変化します。
一方、EIP-1559によって、取引手数料のベースフィーに相当するETHがバーンされます。
ETHの総供給量は、ステーキング報酬などによる発行量から、手数料によるバーン量を差し引いて変化します。
ネットワーク利用が多い期間はバーン量が発行量を上回り、供給量が減少する場合があります。
反対に、利用量が少ない期間は発行量がバーン量を上回り、供給量が増加する可能性があります。
共通のトークン規格を利用できる
イーサリアムでは、トークンの基本機能を共通化する規格が利用されています。
ERC-20(代替可能トークンの規格)は、残高確認、送金、利用許可などの機能を定めた規格です。
ステーブルコイン、ガバナンストークン、サービス内通貨などに利用されています。
ERC-721(個別NFTを発行する規格)は、トークンごとに異なる識別情報を持たせる規格です。
デジタル作品、会員証、ゲーム資産などに利用できます。
ERC-1155では、代替可能な資産とNFTを一つのスマートコントラクトで管理できます。
共通規格を利用すると、同じトークンを複数のウォレット、取引所、アプリで扱いやすくなります。
ただし、規格へ対応していても、発行されたトークンの価値や安全性が保証されるわけではありません。
レイヤー2で取引をまとめて処理する
イーサリアムでは、メインネットだけですべての取引を処理するのではなく、レイヤー2を利用して処理能力を拡張しています。
主なレイヤー2では、複数の取引をまとめるロールアップ(取引をまとめる拡張方式)を利用します。
実際の計算をレイヤー2で行い、取引データや証明をイーサリアムへ記録します。
メインネットとレイヤー2がそれぞれ何を担当するのか整理したい場合は、ブロックチェーンのL1・L2構造と役割の違いを基礎から解説した記事も参考になります。
レイヤー2が取引データを保存する際には、通常のスマートコントラクト用領域より安価なブロブ(L2向けの一時データ領域)を利用できます。
2025年のFusakaではPeerDASが導入され、バリデータがブロブデータ全体ではなく一部をサンプリングして確認できるようになりました。
これにより、ノードへの負担を抑えながら、レイヤー2へ供給できるデータ量を増やしやすくなります。
ただし、レイヤー2ごとに、出金方法、手数料、運営権限、障害時の対応、証明方式が異なります。
イーサリアム上に構築されていることだけで、すべてのレイヤー2が同じ安全性を持つわけではありません。
他通貨との比較

この通貨の特徴をより深く理解するために、異なる通貨である イーサリアム(ETH)、アバランチ(AVAX)、ソラナ(SOL) と比較してみましょう。それぞれの将来性や価格変動の傾向、初心者への適性を5段階で評価しています。興味のある通貨があれば、各リンクから詳しい辞書ページもあわせてご覧ください。
※この比較表は、2026年時点での情報や市場状況をもとに、初心者の方にもわかりやすく評価したものです。実際の投資判断は、ご自身の目的やリスク許容度に応じて行ってください。
イーサリアムの利用シーン

イーサリアムは、ETHの送受信やステーキングだけでなく、DeFi、NFT、ゲーム、DAO、トークン発行、企業間取引などに利用できます。
個人と企業・プロジェクトでは利用する機能が異なるため、代表的な利用シーンを整理します。
個人での利用シーン
個人は、ETHを取引所やウォレット間で送受信するほか、ステーキング、DeFi、NFT、ゲーム、レイヤー2などを利用できます。
ETHを保有・送金・ステーキングする
ETHは、イーサリアム上の別のアドレスへ送金できます。
銀行の営業時間にかかわらず取引を送信できますが、ブロックへ含まれるまでの時間や手数料はネットワーク状況によって変化します。
ETHを長期的に保有する場合は、ステーキングへ参加して報酬を受け取る方法があります。
自分でバリデータを運用する方法、ステーキングプールを利用する方法、取引所のサービスを利用する方法では、必要なETH、管理方法、手数料、リスクが異なります。
価格下落時に売却する可能性があるETHまでステーキングすると、出金待機中に対応できない場合があります。
DeFiやNFTなどのアプリを利用する
DeFiでは、トークン交換、レンディング、借り入れ、流動性提供などをスマートコントラクトから利用できます。
NFTサービスでは、デジタル作品、ゲーム資産、会員証などを購入、保有、送信できます。
メインネットの手数料が高い場合は、対応するレイヤー2へETHやトークンを移し、取引コストを抑える方法があります。
ただし、ウォレットへ接続して署名する際は、送信先、使用するトークン、利用許可の範囲を確認する必要があります。
署名しただけで資産を移動できる権限を与える場合もあります。
ETHをレンディングで運用する
長期保有するETHは、レンディングサービスへ貸し出して貸借料を受け取る方法でも運用できます。
ETHをほかの通貨と比較して検討したい場合は、仮想通貨レンディングに向いている通貨は?BTC・XRP・ETH・ステーブルコインを比較で確認できます。 ETHではステーキングという選択肢もあるため、運用方法の違いはステーキング vs レンディング|長期運用における安全性・利回り・流動性を徹底比較で比較しています。
実際にETHを貸し出せるサービスを探したい場合は、仮想通貨レンディングおすすめ8社を比較|金利・対応通貨・返還条件で選ぶも参考にしてください。
企業やプロジェクトでの利用シーン
企業や開発プロジェクトは、スマートコントラクト、トークン、NFT、決済、証明書、レイヤー2などを利用してサービスを構築できます。
契約処理やデジタル資産を構築する
企業は、支払い条件、権利移転、会員資格、投票、報酬分配などをスマートコントラクトへ実装できます。
ERC-20を使ったポイントや決済用トークン、ERC-721を使った会員証や証明書なども発行できます。
公開ブロックチェーンを利用すると、企業のデータベースだけに依存せず、発行量や移転履歴を外部から確認できます。
一方、個人情報や営業秘密をそのまま公開ブロックチェーンへ記録すると、削除や非公開化が困難になります。
ブロックチェーンへ保存する情報と、社内システムで管理する情報を分ける必要があります。
レイヤー2や決済基盤を構築する
大量の取引を処理するサービスでは、レイヤー2を利用し、取引結果やデータをイーサリアムへ記録できます。
ゲーム、決済、SNS、取引所など、利用者が頻繁に操作するサービスでは、メインネットだけを使う場合より手数料を抑えやすくなります。
また、ステーブルコインを使った決済、国際送金、企業間精算などをスマートコントラクトと組み合わせることも可能です。
レイヤー2を採用する場合は、シーケンサー停止時の対応、資産の出金方法、管理者権限、ブリッジの安全性などを設計段階で確認する必要があります。
イーサリアムの管理方法と対応ウォレット

ETHは、暗号資産取引所で管理する方法と、自分で秘密鍵を管理するウォレットへ送金する方法があります。
取引所で管理すると売買や日本円への交換を行いやすい一方、秘密鍵は取引所側が管理します。
自分のウォレットへ送金するとイーサリアム上のアプリを利用できますが、秘密鍵や署名内容を自分で管理する必要があります。
ETHに対応した主なウォレット
以下は、ETHに対応している代表的なウォレットと、それぞれの特徴です。
| ウォレット名 | 種類 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| MetaMask | ブラウザ拡張・スマートフォンアプリ | ETHやトークンの管理、DApp接続、レイヤー2の追加に対応する |
| Rabby Wallet | ブラウザ拡張・デスクトップ・スマートフォン | 署名前の残高変化やリスクを確認しながら複数のEVMネットワークを利用できる |
| Ledger | ハードウェアウォレット | 秘密鍵を専用端末内で管理し、MetaMaskなどと接続してETHを操作できる |
同じウォレットアドレスを、Ethereum Mainnetや複数のレイヤー2で利用できる場合があります。
ただし、アドレスが同じでも、各ネットワークの残高は別々に記録されます。
ウォレットへ表示されないトークンを追加する場合は、ネットワークとコントラクトアドレスを確認してください。
利用目的に応じたウォレットの利点
ETHを売買するだけであれば、対応する暗号資産取引所で管理すると、日本円との交換や注文を行いやすくなります。
DeFi、NFT、ゲーム、レイヤー2などを利用する場合は、MetaMaskやRabby WalletなどのWeb3ウォレットが選択肢になります。
Web3ウォレットでは、自分の秘密鍵で取引へ署名できる一方、接続したサイトや承認したスマートコントラクトを自分で判断する必要があります。
長期間動かさないETHや高額な資産を管理する場合は、Ledgerなどのハードウェアウォレットを利用できます。
売買用は取引所、アプリ利用分はソフトウェアウォレット、長期保管分はハードウェアウォレットというように、目的別に管理先を分ける方法もあります。
ウォレット利用時の注意点
ETHを自分で管理する場合は、秘密鍵だけでなく、接続先、ネットワーク、ガス代、署名内容を確認する必要があります。
特に注意したい点は以下のとおりです。
- シードフレーズや秘密鍵を他人へ教えない
- ウォレットは公式サイトや正規販売店から入手する
- Ethereum Mainnetとレイヤー2を混同しない
- トークンのコントラクトアドレスを公式情報で確認する
- 署名前に送信先、数量、利用許可の範囲を確認する
イーサリアムのアドレスは、対応するレイヤー2や他のEVMネットワークでも同じ形式です。
アドレスの形だけでは、どのネットワークへ送金するのか判断できません。
取引所が対応していないレイヤー2からETHを送金すると、同じアドレスでも残高へ反映されない可能性があります。
送金前に、取引所が指定する入出金ネットワークを確認してください。
トークンを自由に移動できる利用許可をスマートコントラクトへ与えると、許可を取り消すまで権限が残る場合があります。
利用しなくなったサービスの承認状態も定期的に確認しましょう。
また、レイヤー2間や別のブロックチェーンへ資産を移すブリッジには、スマートコントラクト、管理者鍵、外部検証者などのリスクがあります。
実際にETHやトークンを移動する前には、ブリッジの仕組みと安全に資産を移す手順、送金時の注意点をまとめた記事も確認しておきましょう。
イーサリアムのメリット

イーサリアムには、スマートコントラクトを使って多様なサービスを構築できることや、共通規格を複数のアプリで利用できることなどのメリットがあります。
主なメリットは以下のとおりです。
- スマートコントラクトで多様なサービスを構築できる
- 共通のトークン規格と大規模な開発環境を利用できる
- ETHのステーキングによってネットワークを保護できる
- レイヤー2によって処理能力を拡張できる
- 取引やスマートコントラクトを公開状態で検証できる
スマートコントラクトで多様なサービスを構築できる
イーサリアムでは、送金以外の処理をスマートコントラクトとして実装できます。
トークン交換、レンディング、NFT、ゲーム、投票、保険、会員証など、条件と処理をプログラムで表現できるサービスを構築できます。
一度配置されたスマートコントラクトは、対応するウォレットから世界各地の利用者がアクセスできます。
複数のスマートコントラクトを組み合わせ、新しいサービスを構築できる点も特徴です。
共通のトークン規格と大規模な開発環境を利用できる
ERC-20やERC-721などの共通規格を利用すると、ウォレットや取引所がトークンごとに異なる仕組みを一から実装する負担を抑えられます。
開発者は、Solidity、Remix、Hardhat、Foundryなど、イーサリアム向けに整備された開発ツールを利用できます。
監査会社、ノードサービス、データ分析、ウォレット、オラクルなど、外部サービスの選択肢もあります。
開発環境や利用事例が多いため、既存のコードや知識を活用しながらサービスを構築しやすい点がメリットです。
ETHのステーキングによってネットワークを保護できる
Proof of Stakeでは、バリデータがETHを担保として預け、正しいブロックへ投票します。
不正行為では預けたETHを失う可能性があるため、ルールに従う経済的な動機が作られています。
ETH保有者は、自分でバリデータを運用するほか、ステーキングプールなどを通じてネットワークの安全性維持へ参加できます。
Proof of Workのような計算競争を行わないため、マイニング機器や大量の電力を必要としません。
レイヤー2によって処理能力を拡張できる
レイヤー2は、多数の取引をまとめて処理し、必要なデータや証明をイーサリアムへ送ります。
利用者は、メインネットより安い手数料でトークン交換、決済、ゲームなどを利用できる場合があります。
イーサリアムはブロブやPeerDASによって、レイヤー2が利用できるデータ領域を増やす方針を進めています。
メインネットの安全性を決済やデータ確認に利用しながら、実際の処理をレイヤー2へ分担できる点がメリットです。
取引やスマートコントラクトを公開状態で検証できる
イーサリアム上の取引、残高、スマートコントラクトのコードなどは、ブロックエクスプローラーやノードから確認できます。
トークンの発行量、資産の移動、DeFiの担保残高などを、運営企業の報告だけに頼らず検証できます。
自分でノードを運用すれば、外部サービスへ取引の正しさを問い合わせず、ブロックや状態を検証できます。
ただし、公開されているデータの意味や、スマートコントラクトが安全かどうかは、別途確認する必要があります。
イーサリアムの注意点・リスク

イーサリアムは多様な機能を利用できる一方、手数料、スマートコントラクト、レイヤー2、ステーキングなど、複数のリスクを理解する必要があります。
主なデメリットは以下のとおりです。
- 混雑時にガス代が高くなる
- スマートコントラクトや署名による資産流出リスクがある
- メインネットとレイヤー2の使い分けが複雑になる
- ステーキングに停止・スラッシング・出金待機のリスクがある
- ETHには固定された発行上限がない
混雑時にガス代が高くなる
イーサリアムのブロックへ含められる処理量には上限があります。
多くの利用者が同時に取引を送信すると、より高い優先手数料を設定した取引が先に処理されやすくなります。
単純なETH送金より、トークン交換、流動性提供、NFT発行などの複雑な処理は多くのガスを使用します。
レイヤー2を利用すれば手数料を抑えられる場合がありますが、資産の移動や出金に追加の操作が必要です。
スマートコントラクトや署名による資産流出リスクがある
スマートコントラクトに不具合があると、預けた資産が引き出されたり、利用できなくなったりする可能性があります。
管理者権限を持つ鍵が流出した場合は、コントラクトの設定を変更される可能性もあります。
また、利用者が偽サイトで取引やメッセージへ署名し、トークンの移動権限を与えてしまう被害もあります。
イーサリアムの取引が正しく処理されたことと、利用したサービスが安全だったことは同じではありません。
メインネットとレイヤー2の使い分けが複雑になる
Ethereum Mainnetと各レイヤー2では、同じ形式のアドレスを利用できる場合がありますが、残高はネットワークごとに分かれています。
資産を移動するには、取引所の入出金機能やブリッジを利用する必要があります。
誤ったネットワークへ送金すると、取引所へ反映されなかったり、復旧に手数料や時間がかかったりする可能性があります。
レイヤー2ごとに、出金時間、手数料、障害時の対応、管理権限が異なる点も複雑さにつながります。
ステーキングに停止・スラッシング・出金待機のリスクがある
バリデータを停止させると、参加できなかった時間に応じて報酬を失います。
同じバリデータ鍵を複数の機器で同時に使用し、矛盾するブロックや投票へ署名すると、スラッシングの対象になる可能性があります。
ステーキングサービスを利用する場合は、サービス運営者の障害、手数料、出金制限、スマートコントラクトなどのリスクも加わります。
ステーキングを終了しても、バリデータの退出と出金には待機時間が発生する場合があります。
ETHには固定された発行上限がない
ETHは、バリデータへの報酬として継続的に新規発行されます。
手数料によるバーン量が発行量を上回る期間は供給量が減少しますが、常に減少するとは限りません。
ネットワークの利用量が低下すると、バーン量が減り、ETHの総供給量が増加する可能性があります。
供給面を判断する際は、固定上限の有無だけでなく、ステーキング量、実際の発行量、バーン量、レイヤー2からの手数料需要などを確認する必要があります。
現在の状況と今後の展望

2026年8月時点のイーサリアムは、Proof of Stakeを基盤としながら、メインネットの処理能力、レイヤー2向けのデータ供給、ウォレットの使いやすさを改善しています。
2025年5月7日のPectraでは、EOAへ一時的にスマートコントラクト機能を持たせるEIP-7702が導入されました。
対応ウォレットでは、複数操作の一括処理、ガス代の代理支払い、アカウント復旧などを実装しやすくなっています。
バリデータについては、従来の実効残高上限32 ETHに加えて、報酬を複利運用できるタイプでは最大2,048 ETHまで実効残高を増やせる仕組みが導入されました。
ただし、新しいバリデータを有効化する最低残高は32 ETHです。
2025年12月3日のFusakaでは、レイヤー2向けデータを効率的に確認するPeerDASが導入されました。
バリデータがすべてのブロブデータをダウンロードせず、一部をサンプリングして利用可能性を確認できるようになっています。
PectraとFusakaの導入期間には、ブロブの供給量やメインネットのガスリミットも段階的に拡張されました。
これにより、メインネットの処理能力と、レイヤー2が利用できるデータ量の両方を増やす取り組みが進んでいます。
次の主要アップグレードとして、Glamsterdamの開発が進められています。
検討されている内容には、ブロックを提案する役割と組み立てる役割をプロトコル内で分離する仕組みや、取引がアクセスするデータを事前に示すブロックレベルのアクセスリストなどがあります。
これらは、バリデータが安全にブロック作成を外部へ委ねることや、取引処理を並行化しやすくすることを目的としています。
Glamsterdamの実装内容と導入時期は確定したものではありません。
EIPの選定、テストネット、クライアント実装、監査の結果によって変更される可能性があります。
より長期的な課題として、ブロックを現在より早く確定するSingle Slot Finality、アカウント抽象化、ノード運用の軽量化、暗号技術の量子耐性なども研究されています。
イーサリアムは、すべての利用者の取引をメインネットだけで処理するのではなく、レイヤー2で多数の取引を処理し、メインネットを決済とデータ確認の基盤として利用する方針を進めています。
一方、レイヤー2が増えるほど、流動性の分散、ブリッジ、資産の移動、ウォレット表示などが複雑になる可能性があります。
手数料を下げるだけでなく、異なるレイヤー2を意識せず利用できる環境を整えられるかも重要です。
ETHの今後を判断する際は、市場価格だけでなく、ステーキング量、バリデータとクライアントの分散、ETHの発行・バーン量、レイヤー2の利用量、ブロブ手数料、アップグレードの実装状況を確認しましょう。
購入できる取引所

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