
仮想通貨レンディングを始めるとき、「利率が高い通貨を選べばいい」と考えがちですが、実際には通貨ごとの値動きや保有目的まで含めて考える必要があります。
BTC・ETH・ステーブルコインでは、価格変動の性質や貸借料の捉え方、運用方法が異なります。特にETHはステーキングという選択肢もあるため、レンディングだけを見て決める必要はありません。
この記事では、BTC・ETH・ステーブルコインを比較しながら、どのような目的ならどの通貨をレンディング候補にしやすいのかを整理します。貸出期間や価格変動、ステーブルコイン特有のリスクも含めて確認していきましょう。
仮想通貨レンディングに向いている通貨は?
仮想通貨レンディングに向いている通貨は、貸借料率の高さだけでは決まりません。 長期保有する通貨を活用したいのか、貸借料を重視して運用したいのかによって、適した選択肢は変わります。
BTCやETHは価格変動が大きい一方、長期保有を続けながら貸借料を受け取る使い方ができます。 一方、ステーブルコインは米ドルなどへの価格連動を目指すため、BTCやETHとは異なる考え方でレンディングを検討できます。
ただし、どの通貨にも固有のリスクがあります。 「どの通貨の利率が高いか」だけではなく、そもそも保有を続けたい通貨なのかという視点から考えることが大切です。
向いている通貨は保有目的によって変わる
レンディングでは、貸借料率が高い通貨ほど有利に見えることがあります。 しかし、貸し出している間に通貨価格が大きく下落すれば、受け取る貸借料以上に円換算の資産価値が減る可能性があります。
そのため、まず考えたいのはレンディングをしなくても、その通貨を保有したいかという点です。 もともと長期保有する予定のBTCやETHであれば、保有を続けながら貸借料を得るという使い方を検討できます。
一方、通貨そのものの大きな値上がりよりも貸借料を重視したい場合は、ステーブルコインも候補になります。 BTC・ETHとステーブルコインでは価格変動の性質が異なるため、自分の保有目的に合わせて選ぶ必要があります。
レンディング自体の仕組みや貸借料を受け取る流れから確認したい場合は、仮想通貨レンディングの仕組み・利率・始め方・リスクをまとめた解説も参考にしてください。
BTC・ETH・ステーブルコインの違いを比較
BTC・ETH・ステーブルコインはいずれもレンディングの対象になり得ますが、価格変動や運用目的には違いがあります。 主な特徴を比較すると、次のとおりです。
| 比較項目 | BTC | ETH | ステーブルコイン |
|---|---|---|---|
| 価格変動 | 大きい | 大きい | 連動対象の法定通貨に対して安定を目指す |
| 貸借料の考え方 | 長期保有中のBTCを活用する | 長期保有中のETHを活用する | 貸借料を重視した運用を検討しやすい |
| 主な特徴 | 価格変動の影響を受けながら貸借料を得る | ステーキングという別の運用方法もある | 米ドル連動型でも円換算額は為替の影響を受ける |
| 向いている人 | BTCを長期保有する予定の人 | ETHを長期保有しながら運用方法も比較したい人 | 値上がり益より貸借料を重視したい人 |
BTCとETHは、貸借料だけではなく通貨価格そのものの上昇・下落が資産価値に大きく影響します。 ステーブルコインは価格変動の性質が異なりますが、円換算での変動やデペッグなどのリスクがなくなるわけではありません。
どれか一つが常にレンディングに向いているわけではなく、保有したい通貨と運用目的を先に考えることが基本になります。
利率だけを見て通貨を選ばないことが重要
レンディングでは貸借料率が目につきやすいものの、高い利率だけを理由に通貨を選ぶのは避けたいところです。 貸借料によって保有数量が増えても、それ以上に通貨価格が下落すれば、円換算した資産価値は減少する可能性があります。
また、ステーブルコインにもデペッグ(連動価格から外れる状態)などの固有リスクがあります。 BTC・ETHとはリスクの性質が異なるため、「価格が比較的安定しているから安心」と単純に判断することはできません。
まずは保有したい通貨かどうかを考え、そのうえで貸借料率や貸出条件を確認する順番が重要です。 レンディングの貸借料率に差が生まれる仕組みや、報酬が高くなる理由を解説した記事も確認しておくと、利率だけに左右されず判断しやすくなります。
レンディングする通貨を選ぶときのポイント
レンディングする通貨を選ぶときは、貸借料率だけでなく、保有期間・価格変動・貸出条件・通貨自体のリスクをあわせて確認することが大切です。
特に、貸し出している間に売却したくなる可能性がある通貨や、価格変動を許容しにくい通貨は、条件がよく見えても自分の運用方針に合わない場合があります。ここからは、通貨を選ぶ際に確認したいポイントを順番に見ていきましょう。
長期保有する予定があるか
レンディングは、近いうちに売却する予定の通貨よりも、当面保有を続ける予定の通貨と組み合わせやすい運用方法です。
サービスによっては、貸出期間が決まっていたり、返還を申請してから実際に通貨が戻るまで時間がかかったりします。そのため、価格が上昇したタイミングですぐ売却したい場合でも、貸出中であれば自由に動かせない可能性があります。
長期保有する予定があり、短期的な売買を想定していない通貨であれば、こうした制約を受け入れやすくなります。レンディングを始める前に、まずその通貨をどのくらいの期間保有する予定なのかを確認しておきましょう。
価格変動をどこまで許容できるか
レンディングで貸借料を受け取れても、通貨価格が大きく下落すると、円換算した資産価値は減少する可能性があります。
たとえば、貸し出した通貨の数量が貸借料によって少し増えても、それを上回る幅で通貨価格が下落すれば、円換算した資産全体ではマイナスになることがあります。
そのため、BTCやETHのように価格変動が大きい通貨を貸し出す場合は、貸借料とは別に、どの程度の価格下落まで保有を続けられるかも考えておく必要があります。
貸借料率だけでなく貸出・返還条件も確認する
同じ通貨をレンディングする場合でも、利用するサービスによって条件は異なります。表示されている貸借料率だけではなく、実際に貸し出してから返還を受けるまでの条件も確認しておきましょう。
主に確認したいのは、次のような項目です。
- 貸借料率
- 最低貸出量
- 貸出期間
- 途中返還の可否
- 返還申請から返還までにかかる期間
利率だけを並べるより、まず「いつ返してもらえるか」を確認してみてください。近いうちに売る可能性があるなら、返還しやすさはかなり重要ですよ。
たとえば、貸借料率が高くても、長期間返還できない条件であれば、売却や別の運用へ切り替えたいときに対応しにくくなります。反対に、返還しやすいサービスであれば、利率が多少低くても運用方針に合う場合があります。
各サービスの条件を確認したい場合は、仮想通貨レンディングサービス6社の利率・対応通貨・貸出条件を比較した記事も参考にしてください。
通貨そのもののリスクも確認する
レンディングでは、利用する事業者だけでなく、貸し出す通貨そのものにもリスクがあります。
BTCやETHでは価格が大きく下落する可能性があり、ステーブルコインではデペッグによって連動対象の価格から外れる可能性があります。通貨によってリスクの種類が異なるため、同じ基準だけで安全性を判断することはできません。
また、レンディングには事業者の信用リスクや資産がすぐに返還されないリスクなどもあります。通貨自体の特徴とは分けて確認しておくことが重要です。
通貨の価格変動だけでなく、レンディングそのものに伴うリスクまで確認したい場合は、仮想通貨レンディングで考えられるリスクと注意点をまとめた記事も参考にしてください。
BTC・ETHをレンディングする場合の考え方
BTCとETHは価格変動が大きい一方、長期保有を前提としている場合は、売却せずに貸し出して貸借料を受け取る方法を検討できます。
ただし、レンディングによる貸借料だけを切り離して考えるのではなく、保有を続けたい通貨なのか、その間の価格変動を許容できるのかを含めて判断することが重要です。また、ETHにはレンディング以外にステーキングという運用方法もあります。
BTCは長期保有中の資産を活用しやすい
BTCを当面売却する予定がなく、長期保有を続ける場合は、その保有期間を活用して貸借料を得るという考え方ができます。
単にウォレットや取引所口座で保有する場合とは異なり、レンディングではBTCを事業者などへ貸し出すため、保有数量を増やせる可能性があります。一方で、貸出中は自由に売却・送付できない場合があるため、短期売買を前提とするBTCには組み合わせにくいことがあります。
そのため、BTCをレンディングするかどうかは、貸借料率の高さよりも当面使う予定のないBTCかどうかを基準に考える方が自然です。
ETHはレンディング以外の運用方法も比較する
ETHを保有している場合は、レンディングだけでなくステーキングも運用方法の候補になります。どちらも保有中のETHから報酬を得る方法ですが、報酬が発生する仕組みや資産の扱われ方は異なります。
| 比較項目 | レンディング | ステーキング |
|---|---|---|
| 基本的な仕組み | ETHを事業者などへ貸し出して貸借料を受け取る | ETHをブロックチェーンの運用に活用して報酬を得る |
| 報酬の主な原資 | 貸し出した資産の利用によって生じる収益 | ネットワークへの参加によって得られる報酬 |
| 確認したい条件 | 貸借料率・貸出期間・返還条件など | 対象条件・報酬の受け取り方法など |
| 主な注意点 | 事業者の信用リスクや返還までの制約がある | 利用方法によって対象条件や資産の扱いが異なる |
ETHは「どちらの利回りが高いか」だけで決めなくて大丈夫です。預け方や戻しやすさまで比べて、自分が使いやすい方を選びましょう。
どちらが適しているかは、表示されている利回りだけでは決められません。貸出・返還のしやすさや報酬の仕組みまで含めて比較する必要があります。
両者の違いをさらに詳しく確認したい場合は、ステーキングとレンディングを安全性・利回り・流動性から比較した記事も参考にしてください。
また、コインチェックでETHを保有している場合は、ETHのステーキング対象条件と貸暗号資産サービスとの関係を整理した記事で具体的な扱いを確認できます。
BTC・ETHは貸借料だけでなく価格変動も含めて考える
BTC・ETHのレンディングでは、貸借料だけを独立した収益として考えるのではなく、価格変動を受けながら長期保有を続ける運用として捉えることが重要です。
貸借料を得られることは長期保有中の資産を活用するメリットになりますが、BTC・ETHを保有する判断そのものとは分けて考える必要があります。価格が大きく動いても保有を続ける方針なのかを確認したうえで、レンディングを組み合わせましょう。
ステーブルコインをレンディングする場合の考え方
ステーブルコインは、BTCやETHとは異なる目的でレンディングを検討しやすい通貨です。米ドルなどの法定通貨との価格連動を目指しているため、大きな対ドル価格上昇を狙うというより、保有中に貸借料を得ることを重視した運用と組み合わせやすい特徴があります。
ただし、価格がまったく動かないわけではありません。米ドル連動型のステーブルコインであっても、円換算した資産価値はドル円相場の影響を受けるほか、デペッグや発行体に関するリスクもあります。
ステーブルコインは貸借料を重視しやすい
BTCやETHでは、保有中の価格上昇による利益も運用結果に大きく影響します。一方、米ドル連動型のステーブルコインは、米ドルに対して一定の価格を保つことを目指しているため、値上がり益を狙う通貨とは性質が異なります。
そのため、ステーブルコインのレンディングでは、通貨価格そのものの大幅な上昇よりも、貸し出して得られる貸借料を運用成果として考えやすいのが特徴です。
ただし、貸借料率が高ければ必ず有利になるわけではありません。利用するサービスの貸出条件や返還条件に加えて、保有するステーブルコイン自体の仕組みやリスクまで確認したうえで判断する必要があります。
ステーブルコインでも円換算の価格は動く
米ドル連動型のステーブルコインは、1単位あたりの価格を1米ドル付近に保つことを目指します。しかし、日本円で資産価値を確認する場合は、ステーブルコインと米ドルの関係だけでなく、ドル円相場の影響も受けます。
たとえば、ステーブルコインが1米ドル付近を維持していても、円高になれば円換算した価値は下がり、円安になれば上がります。米ドルに対する価格が安定していても、日本円ベースの資産価値まで一定になるわけではありません。
円で資産を管理している場合は、貸借料だけでなく、為替変動によって最終的な円換算額が変わることも考慮しておきましょう。
デペッグや発行体など固有のリスクがある
ステーブルコインには、BTCやETHの価格変動とは異なる固有のリスクがあります。特に、連動対象との価格差が広がるデペッグだけを確認すれば十分というわけではありません。
主に確認したいのは、次のような点です。
- デペッグ:米ドルなどの連動対象から価格が外れる可能性
- 発行体のリスク:発行・管理する事業者に問題が生じる可能性
- 準備資産のリスク:価値を支える資産の内容や管理状況によって信頼性が変わる可能性
「ステーブル=現金と同じくらい安定」と考えるのは避けたいところです。使う前に、何で価格を支えている通貨なのかまで一度確認しておきましょう。
「ステーブル」という名称から価格リスクがないように見えることがありますが、仕組み上の安全性まで保証されているわけではありません。レンディングに利用する場合も、貸借料率だけでなく、どのような仕組みで価格連動を維持している通貨なのかまで確認することが重要です。
目的別にレンディングする通貨を選ぶ
BTC・ETH・ステーブルコインにはそれぞれ異なる特徴があるため、どれが優れているかを一律に決めることはできません。通貨を選ぶときは、自分が何を目的にレンディングするのかを基準に考えることが重要です。
長期保有している通貨を活用したい場合と、貸借料を重視したい場合では適した候補が変わります。ETHの場合は、レンディングだけでなくステーキングも含めて運用方法を選ぶ必要があります。
まずは今持っている通貨を書き出して、「しばらく使わないもの」と「売却する可能性があるもの」に分けてみると、レンディングに回せる資産が見えやすくなりますよ。
最初からレンディングありきで通貨を決めるのではなく、保有方針を決めたうえで、その資産をレンディングに回すかどうかを考えると選びやすくなります。
保有中のBTC・ETHを活用したい場合
すでにBTCやETHを保有していて、当面売却する予定がない場合は、レンディングによって保有中の資産を活用する方法があります。
この場合は、レンディングのために新しい通貨を購入するのではなく、もともと長期保有する予定だった資産から貸借料を得るという考え方になります。
ただし、貸出中の売却や返還にはサービスごとの制約があるため、相場が動いたときにも保有を続ける予定なのかを確認してから貸し出すことが大切です。
貸借料を重視したい場合
通貨そのものの大きな値上がりよりも、貸し出して得られる貸借料を重視する場合は、ステーブルコインも候補になります。
ただし、ステーブルコインにも為替変動やデペッグなどのリスクがあります。貸借料を重視しつつ、こうしたリスクを許容できるかを基準に判断しましょう。
ETHを運用したい場合はステーキングとも比較する
ETHを運用したい場合は、レンディングだけに選択肢を限定する必要はありません。ステーキングも候補に含めて、自分の保有方針に合う方法を選びましょう。
ETHを長期保有することと、どの方法で運用するかは別の判断です。保有方針が決まったあとに、レンディングとステーキングのどちらを利用しやすいかを比較すると選びやすくなります。
レンディングのためだけに通貨を買う必要はない
高い貸借料率が設定されている通貨を見ると、レンディングするために新しく購入した方がよいように感じることがあります。しかし、貸借料率だけを理由に保有予定のなかった通貨を購入すると、価格下落などによる損失が貸借料を上回る可能性があります。
まず「その通貨を保有したいか」を判断し、その後にレンディングを検討するのが基本です。高い貸借料率を得ること自体を目的に、保有方針に合わない通貨まで購入する必要はありません。
すでに保有している資産を活用するのか、新たに通貨を購入するのかでは、取るリスクも変わります。レンディングは通貨を保有する理由そのものではなく、保有する資産の活用方法の一つとして考えると判断しやすくなります。
仮想通貨レンディングの通貨選びに関するよくある質問
BTC・ETH・ステーブルコインの選び方について、迷いやすいポイントをQ&A形式で整理します。通貨ごとの特徴だけでなく、保有目的や価格変動、運用方法まで含めて判断することが大切です。
利率が高い通貨ほどレンディングに向いていますか?
いいえ、利率の高さだけでレンディングに向いているとは判断できません。
貸借料率が高くても、通貨価格の下落や貸出・返還条件、通貨自体のリスクによって、運用結果は変わります。まずは保有を続けたい通貨かどうかを確認し、そのうえで利率を見ることが重要です。
BTCとETHならどちらがレンディング向きですか?
BTCとETHのどちらが向いているかは、保有目的や運用方針によって変わります。
どちらも長期保有する予定であればレンディングを検討できますが、ETHにはステーキングという別の運用方法もあります。ETHを保有している場合は、レンディングだけに限定せず比較して判断するとよいでしょう。
ステーブルコインなら価格下落の心配はありませんか?
いいえ、ステーブルコインでも価格リスクがなくなるわけではありません。
米ドル連動型ではドル円相場によって円換算額が変動するほか、連動対象の価格から外れるデペッグが起こる可能性もあります。BTCやETHとは異なる種類のリスクがあると考えておきましょう。
複数の通貨をレンディングしても問題ありませんか?
複数の通貨をレンディングすること自体は可能ですが、管理する条件が増える点には注意が必要です。
通貨ごとに価格変動やリスクが異なるだけでなく、利用するサービスによって貸出期間や返還条件も変わります。複数通貨を利用する場合は、それぞれの条件を無理なく管理できる範囲に抑えることが大切です。
まとめ
仮想通貨レンディングに向いている通貨は、貸借料率の高さだけでは決まりません。BTC・ETH・ステーブルコインでは価格変動の性質や運用目的が異なるため、自分の保有方針に合う通貨を選ぶことが重要です。
BTCやETHを長期保有する予定であれば、保有を続けながら貸借料を得る方法としてレンディングを検討できます。一方、貸借料を重視する場合はステーブルコインも候補になりますが、為替変動やデペッグなどのリスクにも注意が必要です。
まずは「その通貨を保有したいか」「価格変動をどこまで許容できるか」「どのような形で収益を得たいか」を整理し、そのうえでレンディングを利用するか判断しましょう。
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