
「ステーキングとレンディング、どっちが自分に合っているのか分からない……」。
そんなモヤモヤを抱えたまま、なんとなく年率だけを見て商品を選んでしまうと、「本当に安全か」「急にお金が必要になったとき動かせるか」といった大事なポイントを見落としてしまいます。
本記事では、長期運用を前提にステーキングとレンディングを「安全性・利回り・流動性」の3つの軸から丁寧に比較し、それぞれがどんな人・どんな目的に向いているのかをわかりやすく解説します。
読み終えるころには、「自分はどちらをどのくらい使うべきか」を自分のリスク許容度から逆算して考えられるようになることを目指しています。
ステーキングとは?|仕組み・種類・メリットを整理
ステーキングは、仮想通貨をただ「眠らせておく」のではなく、ネットワークの運営に参加しながら報酬を受け取れる仕組みです。
とはいえ、「どこに預けるのが安全か」「ロック期間中はどうなるのか」など、はじめての人には分かりにくいポイントも多くあります。
ここでは、まずステーキングの基本的な役割と種類を整理し、後から出てくる「安全性・利回り・流動性」の比較を理解しやすくしていきます。
基本の考え方と役割
ステーキング保有通貨を預けて報酬は、ネットワークのセキュリティに貢献する見返りとして報酬を受け取る仕組みです。多くは PoS(プルーフ・オブ・ステーク)保有量で検証権 のチェーンで行われ、検証役である バリデータ取引を検証する役割 に委任(ディリゲート)して参加します。
参加方法のバリエーション
代表的には「自己運用(自分でノード運用)」「委任(ディリゲート)」「取引所ステーキング」「リキッドステーキング(LST)」があります。難易度とリスク、流動性が異なります。
| 方式 | 概要 | 主なリスク |
|---|---|---|
| 自己運用 | 自分でノードを立てて検証に参加 | 技術的失敗やスラッシング |
| 委任 | 信頼するバリデータに委任 | 委任先の運用不備・手数料 |
| 取引所ステーキング | 取引所内で簡単に参加 | カストディ・信用リスク |
| リキッドステーキング | 受取トークン(LST)で流動性確保 | スマコン・デペグ・複合リスク |
ステーキング報酬は主に新規発行や手数料分配が源泉で、価格相場に依存しすぎない点が特徴です。長期の“置いて増やす”運用に向きます。
ステーキングのさらに基本的な仕組みや、初心者が最初に押さえておきたい注意点については、 ステーキングとは?仮想通貨を預けて稼ぐ仕組みを初心者向けにやさしく解説! で図解しながら解説しているので、「そもそもステーキングって何?」という段階の人はこちらもあわせて読んでみてください。
レンディングとは?|中央集権型とDeFiレンディングの違い
レンディングは、仮想通貨を売らずに「誰かに貸す」ことで利息収入を狙うサービスです。
一見すると銀行預金のように感じられますが、運営会社や仕組みの設計によってリスクの大きさは大きく異なります。
ここでは、まずレンディングの基本構造と種類を押さえたうえで、「中央集権型(CEX)」と「DeFiレンディング」の違いを整理していきます。
基本の構造と種類
レンディング暗号資産の貸付は、保有通貨を貸し出して利息を得る仕組み。取引所などの中央集権型(CEX)と、 DeFi分散型金融 プロトコルの2系統があります。DeFiでは スマートコントラクト自動実行の契約 が資金の貸借を管理します。
CEXとDeFiの使い分け
CEXは手軽で固定利回りが提示されることが多く、DeFiは相場や需要で金利が変動します。利回りはDeFiの方が高くなる場面もありますが、管理は自分で行う必要があります。
| 類型 | 利点 | 留意点 |
|---|---|---|
| CEXレンディング | 手軽・UIが簡単・固定や目安の金利 | 運営破綻・凍結などの信用リスク |
| DeFiレンディング | 多通貨対応・需要で金利上振れ | 清算・ハッキング・スマコンリスク |
DeFi全体の仕組みや、なぜ中央集権型サービスよりも高い利回りが提示されることがあるのかといった背景は、 DeFiとは?銀行なしで資産運用する次世代の金融サービスをわかりやすく解説! と 【DeFi投資】なぜ利回りは高いのか?非中央集権型の仕組みとリスクの種類を解説 で詳しく紹介しています。レンディングを検討する前に、一度全体像を押さえておくと安心です。
安全性の比較|元本リスク・運営リスク・技術的リスク
ステーキングとレンディングは、どちらも「通貨を預けて増やす」という点では似ていますが、何を信頼の土台にしているかが大きく異なります。
委任先のバリデータや取引所の健全性、スマートコントラクトの設計、市場の急変動など、どこでトラブルが起きるかによってリスクの出方も変わります。
ここでは「運営・信用」「技術」「市場」の3つの観点から、それぞれの安全性を整理してみましょう。
ステーキングの主なリスク
委任先の不正や停止などで一部が没収される スラッシング違反で罰金 の可能性、ロック中の価格下落、取引所ステーキングのカストディ(預かり)リスクなどが代表例です。
レンディングの主なリスク
プラットフォーム破綻、ハッキング、DeFiでは担保価値の下落による清算リスクが中心です。過去には出金停止や償還遅延の事例もあり、管理責任は重くなります。
| 観点 | ステーキング | レンディング |
|---|---|---|
| 運営・信用 | 委任先/取引所の健全性に依存 | 運営破綻や凍結のリスク |
| 技術 | スラッシング・バグ | スマコン脆弱性・オラクル依存 |
| 市場 | ロック中の価格下落 | 清算連鎖・変動金利 |
安全性重視の指針:委任先/プラットフォーム分散、金利や年率の根拠確認、ロック期間や出金条件の把握を徹底しましょう。
仮想通貨投資全体のリスクの種類や、暴落・ハッキング・詐欺への具体的な備え方は、 仮想通貨のリスクとは?詐欺・暴落・ハッキングの回避法を初心者向けに解説 で整理しています。ステーキングやレンディングだけでなく、「口座やウォレットも含めてどこにリスクがあるのか」を俯瞰しておきたいときに役立ちます。
利回りの比較|なぜステーキングとレンディングで数字が違うのか
同じ「年◯%」という数字でも、ステーキングとレンディングではその裏側の仕組みがまったく違います。
どこからお金が生まれているのか、どれくらい続きそうな利回りなのかを理解しておかないと、表面上の数字だけを見てリスクの高い商品を選んでしまうこともあります。
ここでは、まず利回りの源泉と持続性の違いを整理し、そのうえで実際に利回りを見るときのチェックポイントをまとめます。
源泉の違いと持続性
ステーキングの報酬は主にブロック報酬やネットワーク手数料の分配で、設計上の持続性があります。一方レンディングは「借り手の需要」が源泉で、市況や資金需要により金利が変動しやすいのが特徴です。
利回りを見る際のチェック
“なぜその利回りが出るか”を説明できることが重要です。価格上昇前提やトークン配布の一時的ブーストのみの場合は、持続性に注意が必要です。
| 項目 | ステーキング | レンディング |
|---|---|---|
| 主な源泉 | 新規発行・手数料 | 借入需要の利息 |
| 変動要因 | ネットワーク利用状況 | 需要/供給・相場 |
| 持続性 | 設計次第で安定 | 市況次第で変動 |
注意:“異常に高い利回り”は相応のリスクとセットです。仕組みと担保の健全性を先に確認しましょう。
流動性・使い勝手の比較|「いつでも動かせるか?」は超重要
長期運用では「どれくらい増えるか」だけでなく、「必要になったときにすぐ動かせるか」がとても重要です。
ロック期間が長すぎたり、出金の条件が厳しすぎたりすると、相場急変や生活資金の急な出費に対応しづらくなってしまいます。
ここでは、ステーキングとレンディングそれぞれの“流動性のクセ”と、使い勝手を判断するうえで押さえておきたいポイントを確認していきます。
ロック・アンボンド・LSTの活用
ステーキングはロックやアンボンド(解除)に時間がかかる場合があります。リキッドステーキング(LST)なら受取トークンを担保や売買に使えますが、デペグや追加リスクを伴います。
レンディングの出金条件
CEXは期間制商品だと中途解約不可や解約手数料があり、DeFiは金利や利用率によっては引き出し待ちが起きることもあります。流動性は常に確認しましょう。
手間・難易度・コストの比較|初心者にとって扱いやすいのはどっち?
同じ「増やす」サービスでも、実際に運用を続けてみると、設定や管理にかかる手間は大きく違います。
どれだけ画面が分かりやすいか、トラブルが起きたときに自分で対処できるか、手数料をどれくらい意識してチェックできるかなどは、長く続けられるかどうかに直結します。
ここでは、ステーキングとレンディングの「準備・操作・維持」にかかる負荷と、日々チェックしておきたいポイントを整理します。
準備・操作・維持の負荷
取引所内で完結できる選択肢は手軽ですが、手数料やスプレッドが見えにくいことがあります。自前でDeFiを使う場合は、ウォレット管理やガス代、セキュリティ対策が必須です。
- 年率(APY/APR)の根拠と直近の変動
- ロック/解除ルール、出金待ちリスク
- 手数料(委任手数料・ガス代・スプレッド)
税金・課税タイミングの違い(日本ユーザー向けの注意点)
ステーキングやレンディングは、価格変動リスクだけでなく「税金」の考え方も押さえておく必要があります。
同じ1年間の運用でも、「いつ」「どのタイミングで」課税されるかによって、手元に残る金額は大きく変わってきます。
ここでは細かい税務の専門解説ではなく、長期運用の判断材料として知っておきたい“ざっくりとしたイメージ”を整理します。
ざっくり整理
ステーキング報酬やレンディング利息は、日本では原則として雑所得に区分されるケースが一般的です。受取時点課税の可能性があり、長期運用では「いつ課税されるか」が効いてきます。詳細は必ず公式情報や専門家に確認してください。
一般的には、
「報酬や利息が付与された時点の日本円換算額が一度所得として認識される」
さらに「その後に売却・別の通貨への交換・日本円出金などを行った時点で、取得時価との差額が再度課税対象になる」
といったタイミングで課税が発生すると言われています。
日本の税制における具体的な計算方法や、確定申告の流れ・よくあるつまずきポイントについては、 【初心者向け】仮想通貨にかかる税金とは?確定申告の基礎から対策までわかりやすく解説 でまとめています。「ステーキングやレンディングを使うと税金はどうなるの?」と感じたら、運用額を増やす前に一度目を通しておくと安心です。
タイプ別:ステーキング/レンディングの使い分けパターン
ステーキングとレンディングは、どちらが「正解」というよりも、投資スタイルやリスク許容度によって向き・不向きが分かれます。
ここでは、性格や運用スタンスごとに、どのような組み合わせ方が考えられるかをイメージしやすいよう、代表的なパターンを整理してみます。
代表的なシナリオ
リスク許容度と運用の手間のバランスで選択が変わります。以下は考え方の例です。
- 安定志向:主要PoS銘柄で委任ステーキング、分散したバリデータに割り振り
- 中庸:LSTで流動性確保+一部をCEXレンディングへ
- 積極派:DeFiレンディングで担保・清算管理を前提に高金利を狙う
小口から試し、ルールが体に染みるまで枠を拡大しないのがコツです。
どのパターンを選ぶかは、保有資産の大きさや収入の安定度といったリスク許容度によっても変わってきます。 自分にとって無理のない比率を考えたい場合は、 リスク許容度から逆算するポートフォリオ戦略|仮想通貨を「全財産」にしない線引き を参考にしながら、「ステーキングとレンディングに全体資産の何%まで回すか」を決めておくと安心です。
そもそも投資に回せる金額の上限そのものは、 なぜ「余剰資金」以外で投資してはいけないのか?生活を守る資金計画の立て方 で解説している考え方がベースになります。生活費と投資資金の線引きをしたうえで、ステーキング/レンディングに充てる枠を決めていきましょう。
ステーキングを選ぶなら|チェックリストとおすすめの始め方
「レンディングよりも、まずはステーキングから試してみたい」という場合でも、なんとなく人気のチェーンやバリデータを選んでしまうと、思わぬリスクを抱えることがあります。
ステーキングは一度預けるとロック期間が発生するケースも多いため、「どこに」「どのくらい」預けるかを事前に整理しておくことが大切です。
ここでは、ステーキングを選ぶ前に確認したいチェックポイントと、実際に始めるときのざっくりした手順をまとめます。
事前チェック
委任先の稼働率・手数料・過去のスラッシング履歴、チェーンの分散度、ロックと解除の仕様を確認します。
はじめての手順(例:委任ステーキング)
実際の操作はチェーンやウォレットで変わりますが、流れは概ね共通です。
- 対応ウォレットを用意し、対象通貨を入金
- 公式または信頼できる委任画面でバリデータ候補を比較
- 少額で委任→報酬サイクルや解除期間を確認→段階的に増額
自己管理型ウォレットの基本や、安全な保管方法について不安がある場合は、 ウォレットとは?仮想通貨の保管方法・種類・セキュリティ対策を初心者向けに徹底解説! を先に読んでおくと、取引所以外のウォレットに通貨を移す際のイメージが掴みやすくなります。
国内取引所が提供するステーキングサービスの具体例や、積立・貸暗号資産など他サービスとの違いを見比べたい場合は、 コインチェックでできること完全ガイド|積立・IEO・NFT・ステーキング・でんき/ガス活用 で、取引所ステーキングの位置づけを含めて確認してみてください。
レンディングを選ぶなら|チェックリストとリスク管理のコツ
「利回りが高そうだからレンディングを使ってみたい」と思ったときこそ、まず意識したいのがリスク管理です。
同じレンディングでも、運営の健全性や担保の設計、商品ごとの条件によって安全度は大きく変わります。なんとなく年率だけで選んでしまうと、出金停止や清算など思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
ここでは、レンディングを検討するときに見ておきたいチェックポイントと、実際に運用する際の分散・ヘッジの考え方を整理します。
事前チェック
プラットフォームの財務健全性、保険や準備金の有無、担保設計(LTV)と清算ルール、監査実績を確認します。
分散とヘッジの考え方
単一サービスや単一通貨に集中せず、期間や商品タイプを分散します。流動性確保のため、即時引き出し可能な枠を必ず残しましょう。
| 分散例 | 狙い | 注意点 |
|---|---|---|
| CEX固定金利+短期 | 読みやすいキャッシュフロー | 中途解約ペナルティに注意 |
| DeFi可変金利+主要担保 | 上振れ狙い | 清算ライン厳守・追加担保準備 |
| 現金・ステーブル待機枠 | 緊急時の機動性 | 発行体/ペッグの信用確認 |
実際にどのようにレンディングをポートフォリオに組み込むか、借り入れと組み合わせて資金効率を高める具体例は、 DeFiレンディング・借り入れの活用法|仮想通貨を「寝かせない」ための効率的な資金戦略 でシナリオ別に紹介しています。利回りだけでなく、清算リスクや資金の“動かしやすさ”まで含めて設計したいときに役立ちます。
よくある失敗と対処法|「やらなければよかった」を防ぐために
ステーキングやレンディングは、一度うまくいくと「もっと増やしたい」という気持ちが強くなり、冷静な判断よりも感情で動いてしまいがちです。
しかし、多くの失敗は特別なケースではなく、同じようなパターンの繰り返しでもあります。
ここでは、「やらなければよかった」と後悔しやすい典型的な失敗パターンと、その前に取れる対策をセットで整理しておきましょう。
典型パターンと回避策
失敗は“構造の理解不足”から起きます。下は代表例と対処のヒントです。
- ロック中の暴落でパニック:解除期間と価格変動幅を事前に想定
- プラットフォーム停止:運営分散と金額上限をルール化
- 高利回りに釣られる:利回りの源泉と持続性を説明できるか確認
こうした失敗はステーキングやレンディングに限らず、仮想通貨投資全般で共通する「損をしやすい行動パターン」とも重なります。 自分がどこに当てはまりそうかチェックしたいときは、 仮想通貨で損する人はこんな人|共通点と回避策 もあわせて読んでみてください。
よくある質問(FAQ)
ステーキングとレンディングについて調べていると、「結局どこまで安全なのか」「両方使ってもいいのか」「最初は何から始めればいいのか」など、同じような疑問を持つ人が多くいます。
ここでは、長期運用を考える人からよく寄せられる質問をピックアップし、記事の内容を振り返りながらポイントを簡単に整理します。
Q. ステーキングもレンディングも元本保証ですか?
いいえ、どちらも元本保証ではありません。設計上のリスク(スラッシング、清算、運営破綻、ハッキングなど)を前提に、金額や委任先/プラットフォームを分散してください。
Q. 両方を同時に使うのはアリ?
アリです。たとえば“基盤はステーキング、機動枠は短期レンディング”という役割分担で、全体のバランスを取る方法があります。
Q. 初心者はどちらから始めるべき?
まずは主要PoS銘柄の委任ステーキングで仕組みに慣れ、少額でLSTやCEXレンディングを試すのが無難です。操作やルールに自信がついたら範囲を広げましょう。
まとめ|自分のリスク許容度から逆算して、賢く選ぶ
ここまで見てきたように、ステーキングとレンディングは「どちらが絶対に有利」というものではなく、重視したいポイントやリスク許容度によってベストな組み合わせが変わります。
なんとなく利回りの数字だけで選ぶのではなく、自分が許容できるリスクと、どれくらいの手間をかけられるのかを一度立ち止まって整理することが、長く付き合っていくうえでの土台になります。
安全性・利回り・流動性の3軸で自分の優先順位をはっきりさせ、少額から段階的に運用範囲を広げる。これが長期運用の基本です。仕組みを理解し、「なぜその年率が出るのか」を常に説明できる状態を保ちましょう。
また、ステーキングやレンディングだけに偏らず、複数の銘柄やサービスに分散することも長期運用では重要です。 通貨そのものの組み合わせ方や分散の考え方は、 【投資の基本】仮想通貨で「分散投資」が生命線である理由|BTC・ETH以外に何をどう組み合わせるか も参考にしながら、「全体ポートフォリオの中でステーキング/レンディングをどう位置付けるか」を考えてみてください。

