
仮想通貨を長期的に積み立てていると、「買ったあとはそのまま保有しておくだけでいいのか」と考えることもあるでしょう。
そこで選択肢になるのが、積立した仮想通貨のうち当面使わない分をレンディングに回す方法です。積立で買い増しながら、保有中の資産から貸借料も得ることで、積立だけの場合とは資産の増え方が変わります。
ただし、年間36万円を積み立てたからといって、36万円すべてを1年間貸し出せるわけではありません。購入した時期によって貸出期間が異なるため、表示されている年率を積立総額へそのまま掛けて考えることはできません。
この記事では、毎月3万円を1年間積み立てるケースをもとに、「積立のみ」と「積立+レンディング」でどの程度の差が生まれるのかをシミュレーションします。さらに、資産の増え方が変わる仕組みや、積立した資産のどこまでを貸し出すか、送金コストや返還条件など実際に併用するときの考え方まで解説します。
仮想通貨積立とレンディングを併用するメリット
仮想通貨積立とレンディングを併用するメリットは、積立で仮想通貨を買い増しながら、保有中の資産から貸借料も得られることです。
積立だけの場合は、継続的な購入によって仮想通貨の保有数量を増やし、その後の価格変動によって資産額が変わります。一方、当面使わない保有分をレンディングに回せば、価格変動とは別に貸借料を受け取れるため、積立だけの場合とは資産の増え方が変わります。
つまり、積立で買い増すことに加えて、保有期間もレンディングで活用できることが併用の特徴です。さらに、貸借料を同じ暗号資産で受け取り、そのまま保有していれば、その分もその後の価格変動の影響を受けます。
ただし、レンディングを加えても価格下落のリスクがなくなるわけではなく、実際に得られる貸借料も利率や貸出期間などによって変わります。まずは、積立だけの場合とレンディングを加えた場合で何が違うのかを整理します。
積立だけの場合は保有した仮想通貨の価格変動が資産額に影響する
仮想通貨積立では、毎月・毎日など決めたペースで購入を続けることで、保有数量を増やしていきます。
一方、購入した仮想通貨をそのまま保有する場合、資産額は積み立てによって購入した数量と、その後の価格変動によって左右されます。価格が上昇すれば円換算の資産額は増え、下落すれば積立元本を下回ることもあります。
レンディングを加えると保有中にも貸借料を得られる
積み立てた仮想通貨のうち、当面売却や送金をする予定のない分をレンディングに回すと、貸出期間に応じて貸借料(貸出の対価として得る報酬)を受け取れます。
そのため、積立だけの場合とは異なり、保有している期間にも貸借料という収益を加えられるのが特徴です。
レンディングの基本的な仕組みや貸借料が発生する流れについては、「仮想通貨レンディングとは?仕組み・利率・始め方・リスクを解説」で詳しく解説しています。
値上がりした場合は貸借料として増えた分にも価格上昇が反映される
貸借料を同じ暗号資産で受け取り、そのまま保有している場合は、貸借料として増えた分もその後の価格変動の対象になります。
価格が上昇すれば、積立によって購入した分だけでなく、レンディングによって増えた分の円換算価値も上昇します。反対に価格が下落すれば、その分も含めて資産価値は下がるため、レンディング自体が価格下落を防ぐわけではありません。
実際にどの程度の差が生まれるかは、積立額やレンディング利率、貸出期間、価格変動によって変わります。次の章では、毎月3万円を1年間積み立てるケースを使って具体的に比較します。
積立だけの場合とレンディングを併用した場合を比較
積立にレンディングを加えると、実際の資産額にはどの程度の差が生まれるのでしょうか。ここでは、毎月3万円を1年間積み立てるケースを使い、「積立のみ」と「積立+レンディング」の運用結果を比較します。
比較では、仮想通貨の価格が変わらない場合に加えて、1年間で20%上昇した場合と20%下落した場合も確認します。毎月同じ金額を積み立てるため、価格が動けば各月に購入できる仮想通貨の数量も変わります。その点も含めて計算します。
なお、以下は積立とレンディングを組み合わせたときの違いを確認するためのシミュレーションです。実際の運用結果は、利用するサービスの利率や貸出期間、価格推移などによって異なります。
毎月3万円を1年間積み立てた場合をシミュレーションする
今回は、仮想通貨1単位の価格を10万円からスタートし、毎月初めに3万円ずつ購入する条件で比較します。レンディングは購入後すぐに開始できるものとし、年率はAPR(単利換算の年率)5%と仮定します。
| 項目 | シミュレーション条件 |
|---|---|
| 毎月の積立額 | 3万円 |
| 積立期間 | 12か月 |
| 年間積立額 | 36万円 |
| 開始時の仮想通貨価格 | 1単位=10万円 |
| レンディング年率 | APR 5% |
| 貸出開始 | 各月の購入後すぐに貸し出すと仮定 |
| 貸借料 | 貸し出した仮想通貨と同じ通貨で受け取ると仮定 |
| 貸借料の再運用 | 計算を分かりやすくするため行わない |
| 手数料・税金 | 考慮しない |
重要なのは、年間36万円を積み立てても、その36万円すべてを1年間レンディングできるわけではないことです。1月に購入した分は約12か月貸し出せますが、6月に購入した分は約7か月、12月に購入した分は約1か月しか貸し出せません。
1月に買った分はほぼ1年間貸せますが、12月に買った分を貸せるのは約1か月だけです。 なので「年間36万円を積み立てたから、36万円全部に年率5%が付く」と考えないようにしましょう。
そのため、単純に「36万円×年率5%=1万8,000円」と計算することはできません。各月に購入した数量と、年末まで実際に貸し出せる期間をそれぞれ反映して貸借料を計算します。
価格が変わらない場合は貸借料分が資産額の差になる
まず、1年間を通して仮想通貨の価格が10万円のまま変わらなかったケースを確認します。毎月3万円で0.3単位を購入できるため、1年間の積立で合計3.6単位を保有することになります。
積立のみであれば、年末時点の資産額は36万円です。一方、購入した仮想通貨を順次年率5%でレンディングした場合、貸出期間の違いを反映すると、約0.0975単位の貸借料を受け取る計算になります。
| 項目 | 積立のみ | 積立+レンディング |
|---|---|---|
| 年間積立額 | 360,000円 | 360,000円 |
| 購入した仮想通貨 | 3.6000単位 | 3.6000単位 |
| 貸借料 | なし | 約0.0975単位 |
| 年末の保有数量 | 3.6000単位 | 約3.6975単位 |
| 年末の資産額 | 360,000円 | 約369,750円 |
| 積立元本との差 | 0円 | 約+9,750円 |
価格がまったく変わらなければ、両者の違いはほぼ貸借料そのものです。この条件では、レンディングを併用したことで年末の資産額が約9,750円多くなる計算です。
年率5%でも年間36万円すべてを12か月貸しているわけではないため、貸借料は1万8,000円にはなりません。積立とレンディングを併用する場合は、利率だけでなく、各購入分を実際に何か月貸せるかが結果に影響します。
価格が上昇した場合は貸借料として増えた数量にも値上がりが反映される
次に、仮想通貨価格が10万円から毎月一定の割合で上昇し、1年後に12万円まで20%上昇したケースを考えます。
価格が上がるにつれて毎月3万円で購入できる数量は少なくなるため、1年間で購入できる仮想通貨は合計約3.3160単位です。年末価格12万円で評価すると、積立のみでも資産額は約39万7,914円となります。
さらにレンディングを併用すると、約0.0923単位の貸借料が加わります。この貸借料も同じ仮想通貨で保有しているため、年末時点では12万円の価格で評価されます。
| 項目 | 積立のみ | 積立+レンディング |
|---|---|---|
| 年間積立額 | 360,000円 | 360,000円 |
| 年末の仮想通貨価格 | 120,000円 | 120,000円 |
| 購入した仮想通貨 | 約3.3160単位 | 約3.3160単位 |
| 貸借料 | なし | 約0.0923単位 |
| 年末の保有数量 | 約3.3160単位 | 約3.4083単位 |
| 年末の資産額 | 約397,914円 | 約408,991円 |
| 積立元本との差 | 約+37,914円 | 約+48,991円 |
このケースでは、レンディングを併用した方が年末の資産額は約1万1,077円多くなります。価格が変わらないケースの差額9,750円より大きくなっているのは、貸借料として増えた仮想通貨にも値上がりが反映されるためです。
なお、「1年間で20%上昇したから36万円が43万2,000円になる」という計算にはなりません。毎月積み立てる場合は購入時期ごとに価格が異なり、後半ほど高い価格で購入するためです。
価格が下落した場合でも損失そのものがなくなるわけではない
反対に、仮想通貨価格が10万円から毎月一定の割合で下落し、1年後に8万円まで20%下落したケースも確認します。
価格が下がるほど毎月3万円で購入できる数量は増えるため、1年間で購入できる仮想通貨は合計約3.9959単位になります。しかし、年末価格は8万円まで下がっているため、積立のみの資産額は約31万9,672円となり、年間積立額36万円を下回ります。
| 項目 | 積立のみ | 積立+レンディング |
|---|---|---|
| 年間積立額 | 360,000円 | 360,000円 |
| 年末の仮想通貨価格 | 80,000円 | 80,000円 |
| 購入した仮想通貨 | 約3.9959単位 | 約3.9959単位 |
| 貸借料 | なし | 約0.1045単位 |
| 年末の保有数量 | 約3.9959単位 | 約4.1004単位 |
| 年末の資産額 | 約319,672円 | 約328,034円 |
| 積立元本との差 | 約-40,328円 | 約-31,966円 |
レンディングを併用した場合は約0.1045単位の貸借料が増えるため、積立のみより年末の資産額は約8,363円多くなります。ただし、貸借料が加わっても資産額は積立元本36万円を下回っており、価格下落による損失そのものがなくなるわけではありません。
この比較から分かるのは、レンディングが値下がりを防ぐ仕組みではなく、積立で保有している仮想通貨に貸借料という追加の増加要因を加える方法だということです。価格が上がる場合も下がる場合も、積立のみとの差は生まれますが、その差がどのように生まれるのかは次の章で詳しく確認します。
積立にレンディングを加えると資産の増え方が変わる仕組み
前章のシミュレーションで「積立のみ」と「積立+レンディング」に差が生まれたのは、資産額を変化させる要素が増えるためです。
積立では新たな資金で仮想通貨を購入し、レンディングでは保有している仮想通貨から貸借料を得ます。さらに、それぞれによって保有している仮想通貨の数量に価格変動が加わり、最終的な資産額が決まります。
つまり、積立とレンディングを組み合わせると、「購入による数量増加」「貸借料による数量増加」「保有数量に対する価格変動」という3つの要素が関係します。
積立では購入するたびに保有数量が増える
仮想通貨積立では、毎月・毎日など決めたタイミングで新たな資金を使って購入するため、そのたびに保有数量が増えていきます。
同じ金額を積み立てても、購入時の価格が低ければ多く、高ければ少ない数量を購入することになります。そのため、購入時期を分散することで、一度の価格だけに取得価格が偏るのを抑えやすくなります。
購入時期を分散する考え方については、「積立投資が安心なワケ|仮想通貨の激しい値動きと上手につき合うコツ」で詳しく解説しています。
積立で増える数量は、あくまで追加資金によって新しく購入した分です。この点が、すでに保有している資産から貸借料を得るレンディングとの違いになります。
レンディングでは保有中の仮想通貨から数量を増やせる
レンディングでは、すでに保有している仮想通貨を貸し出し、その対価として貸借料を受け取ります。貸借料が同じ暗号資産で付与される場合は、追加資金を使わずに保有数量を増やせることになります。
前章のシミュレーションで積立のみより資産額が多くなったのも、購入した数量に貸借料として増えた数量が加わったためです。さらに価格が変動すれば、貸借料として増えた分も含めた保有数量全体の円換算価値が変わります。
こうした貸借料がどのような仕組みで発生するのかについては、「仮想通貨レンディングの報酬はなぜ高い?預けた通貨の運用先と利率の仕組み」で詳しく解説しています。
積立額が増えるほどレンディング対象にできる資産も増えていく
積立を継続すると、購入によって保有している仮想通貨の数量そのものが増えていきます。その結果、保有資産の中でレンディングに活用できる候補も増えやすくなります。
つまり、積立はレンディングによる貸借料を直接増やす仕組みではありませんが、積立によって保有資産の母数が大きくなれば、その中から貸し出しに回せる資産を確保しやすくなります。
実際にどの数量を、どのタイミングで追加貸出するかは、最低貸出数量や募集条件、売却予定などを踏まえて判断します。具体的な貸出方法は次の章で整理します。
貸借料を再び運用すれば資産形成を継続できる
レンディングで受け取った貸借料を売却せず、そのまま保有することもできます。同じ暗号資産で受け取った場合は、積立で購入した分と合わせて保有数量の一部になります。
さらに、サービスの条件によっては、貸借料として増えた仮想通貨を再びレンディングへ回すこともできます。貸借料として得た資産をその後の運用にも利用できるため、積立による買い増しとは別の形で長期運用を続けられます。
ただし、貸借料の付与方法や付与時期、自動再貸出の有無などはサービスによって異なります。実際の運用では、利用するサービスの条件を確認して判断する必要があります。
次の章では、積み立てた仮想通貨のうち、どの資産をどのタイミングでレンディングに回すかを具体的に整理します。
積立とレンディングを併用する方法
積立とレンディングを併用する場合は、レンディングの利率を見て通貨を買うのではなく、もともと長期保有したい仮想通貨を積み立て、その中から当面使わない分を貸し出すという順番で考えるのが基本です。
積立のたびに貸し出す必要はなく、ある程度の数量が貯まった段階でレンディングに回すこともできます。積立先とレンディング先についても、同じサービスにそろえることを前提にせず、それぞれの条件を確認して選びます。
- 長期保有したい仮想通貨を積み立てる
- 積み立てた中から当面使わない分を貸し出す
- 一定量が貯まったら追加でレンディングする
- 積立先とレンディング先を条件に合わせて選ぶ
まずは長期保有したい仮想通貨を積み立てる
最初に決めたいのは、レンディングで高い利率が設定されている通貨ではなく、自分が長期的に保有したい通貨です。積立とレンディングを併用する目的は、レンディングのために新しい通貨を購入することではなく、もともと保有を続ける予定の資産を貸出期間中も活用することにあります。
たとえば、BTCやETHを長期保有する方針であれば、まずはその通貨を継続的に積み立てます。そのうえで、保有量が増えてきた段階で、当面売却する予定のない部分をレンディングへ回す流れです。
利率だけで通貨を選ぶと、価格変動による損失が貸借料を上回ったり、そもそも長期保有するつもりのなかった通貨を持ち続けることになったりする可能性があります。貸し出す通貨の選び方については、「仮想通貨レンディングに向いている通貨は?BTC・XRP・ETH・ステーブルコインを比較」で詳しく解説しています。
積み立てた中から当面使わない分を貸し出す
積み立てた仮想通貨は、すべてレンディングに回す必要はありません。貸出中は自由に売却や送金ができなかったり、返還を申し込んでから実際に戻ってくるまで時間がかかったりする場合があるためです。
そのため、積立によって保有している資産を、当面売却・送金する予定のない分と、すぐ動かせる状態で残しておく分に分けると考えやすくなります。
たとえば、長期保有する方針が決まっている部分はレンディングに回し、価格次第で売却する可能性がある部分や、別の取引所・ウォレットへ移す予定がある部分は貸し出さずに残しておく方法があります。
第2章のシミュレーションでは購入した資産を順次貸し出す条件で比較しましたが、実際には自分の売却予定や資金の使い方に合わせて、レンディングへ回す範囲を決めることが重要です。
まずは今持っている仮想通貨を、「しばらく売る予定がない分」と「価格次第では売るかもしれない分」に分けてみましょう。 レンディングを検討するのは、前者からで十分です。
一定量が貯まったら追加でレンディングする
一度レンディングを始めたあとも積立を続ければ、新しく購入した仮想通貨が保有資産に加わっていきます。そのため、追加分が一定量まで貯まったタイミングで、再び当面使わない分をレンディングへ回すことができます。
ただし、積立で購入するたびに毎回貸し出す必要はありません。レンディングサービスによっては最低貸出数量や募集期間、受付方式などの条件があり、好きなタイミングで少額ずつ追加できるとは限らないためです。
積立先とレンディング先が異なる場合は、そのたびに暗号資産を送金すると手数料も発生する可能性があります。積立によって増えた数量と利用するサービスの条件を確認し、ある程度まとまってから追加で貸し出す方法も選択肢になります。
積立先とレンディング先は条件に合わせて選ぶ
積立とレンディングは、必ずしも同じサービスで利用する必要はありません。同じ取引所などで両方を利用できれば管理や資産移動はシンプルになりますが、積立条件が良いサービスと、レンディング条件が良いサービスが同じとは限りません。
積立先を選ぶときは、積立できる通貨や購入頻度、手数料などを確認します。一方、レンディング先では、利率だけでなく最低貸出数量、募集方式、貸出期間、返還条件なども確認する必要があります。
別のサービスへ送金してレンディングする場合は、暗号資産の送金手数料も含めて判断します。特に少額を積み立てている場合は、貸借料より送金コストの影響が大きくなる可能性があるため、利率だけを比較して決めるのは適切ではありません。
レンディング先ごとの金利や対応通貨、最低数量、返還条件などを比較したい場合は、「仮想通貨レンディングおすすめ8社を比較|金利・対応通貨・返還条件で選ぶ」で確認できます。
積立とレンディングを併用する際の注意点
第2章のシミュレーションでは、購入した仮想通貨をすぐに貸し出せることや、一定の利率で貸借料を受け取れることを前提に比較しました。しかし、実際の運用では表示利率、貸出開始までの期間、送金コスト、仮想通貨の価格変動などによって、シミュレーションどおりの結果にならないことがあります。
レンディングを併用すれば必ず一定額が上乗せされると考えるのではなく、実際にどのくらいの数量を、どの期間貸し出せるのかまで確認することが重要です。
表示利率どおりの貸借料を得られるとは限らない
レンディングサービスに表示されている年率だけを見て、積立額にそのまま掛ければ受取額を計算できるわけではありません。実際の貸借料は、利率の表示方法や実際の貸出期間、適用されるプランなどによって変わります。
たとえば、APRとAPYでは利率の考え方が異なります。また、「最大年率」と表示されていても、特定の通貨や貸出期間、キャンペーンなどの条件を満たした場合だけ適用されることがあります。
APR・APY:年率の表示方法によって、貸借料の計算方法が異なります。
実際の貸出期間:年率5%でも、1年間貸し出さなければ5%分をそのまま受け取れるわけではありません。
募集状況:希望するタイミングで申し込めず、積立後すぐに貸出を始められない場合があります。
キャンペーン条件:通常より高い利率が表示されていても、期間や対象通貨などの条件が設定されている場合があります。
そのため、積立とレンディングを組み合わせた収益を考えるときは、表示されている年率だけではなく、自分が実際に適用される利率と貸出日数を確認する必要があります。
積立した資産をすぐにレンディングできるとは限らない
第2章では、毎月購入した仮想通貨をそのままレンディングできる条件で計算しました。しかし、積立で購入した直後から必ず貸し出せるとは限りません。
レンディングサービスによっては最低貸出数量が設定されているため、毎月の積立額が少ない場合は、必要な数量まで貯まるのを待つことになります。また、常時申し込めるサービスだけでなく、募集期間が決まっていたり、受付枠が埋まると申し込めなくなったりする場合もあります。
たとえば、積立開始から数か月後に最低貸出数量へ到達した場合、それ以前に購入した分を含めて貸し出せても、積立開始時から貸借料が発生していたわけではありません。実際の併用では、積立した期間とレンディングできた期間が一致しないことを考慮する必要があります。
送金コストによって貸借料のメリットが小さくなる場合がある
積立先とレンディング先を別のサービスにする場合は、積み立てた仮想通貨をレンディング先へ移すために送金が必要になることがあります。その際に送金手数料がかかれば、レンディングで得られる貸借料の一部が相殺されます。
特に注意したいのが、少額を積み立れるたびに頻繁に送金するケースです。貸し出す数量が少ないほど受け取れる貸借料も小さくなるため、送金コストの割合が相対的に大きくなりやすくなります。
そのため、積立先とレンディング先を分ける場合は、積立のたびに移動させるのではなく、一定量が貯まってからまとめて送金するなど、貸借料と送金コストのバランスを考える必要があります。
別のサービスへ送るなら、送金ボタンを押す前に「この金額を貸したら、1年間で貸借料はいくらくらいか」「送金にいくらかかるか」を一度比べてみましょう。 少額なら、ある程度貯まるまで待った方がいいこともあります。
貸出中でも仮想通貨の価格は変動する
レンディングで貸借料を受け取っていても、貸し出している仮想通貨そのものの価格変動は続きます。価格が大きく下落した場合は、貸借料による増加分よりも価格下落による評価損の方が大きくなることがあります。
第2章の下落シミュレーションでも、レンディングを併用することで積立のみより資産額は多くなりましたが、積立元本を下回る結果になりました。レンディングは値下がりを防ぐ仕組みではなく、あくまで保有中の仮想通貨から貸借料を得る方法です。
また、価格変動以外にも、貸出先となる事業者の信用や、希望したタイミングで資産が返還されるかといったリスクがあります。積立との併用を検討する場合も、貸借料だけでなくこうした点まで含めて判断する必要があります。
レンディングに伴う事業者リスクや返還リスクなどについては、「仮想通貨レンディングは危険?知っておきたいリスクと注意点を解説」で詳しく解説しています。
仮想通貨積立とレンディングの併用に関するよくある質問
仮想通貨積立とレンディングを併用するときに、貸出のタイミングや資産の配分、サービスの選び方などで迷いやすいポイントを整理します。
積立した仮想通貨は毎月レンディングした方がいいですか?
必ずしも、積立のたびに毎月レンディングする必要はありません。サービスによっては最低貸出数量や募集条件があり、積立先とレンディング先が異なれば送金コストがかかる場合もあります。
少額を毎回移動するより、一定量が貯まってからまとめて貸し出す方が利用しやすいケースもあります。積立額だけでなく、最低数量や募集状況、送金コストを確認してタイミングを決めましょう。
積み立てた仮想通貨は全部レンディングした方が得ですか?
積み立てた仮想通貨をすべてレンディングする必要はありません。貸出中はすぐに売却・送金できない場合があるため、当面使わない分だけを貸し出すという方法があります。
価格変動に応じて売却する可能性がある分や、別の取引所・ウォレットへ移す予定がある分は、すぐ動かせる状態で残しておくとよいでしょう。
価格が下がってもレンディングしていれば利益になりますか?
いいえ。レンディングで貸借料を受け取っていても、仮想通貨の価格下落幅が大きければ、円換算では損失になる可能性があります。
レンディングは価格下落を防ぐ仕組みではなく、保有中の仮想通貨から貸借料を得る方法です。価格変動による損益と貸借料は分けて考える必要があります。
積立とレンディングは同じサービスで行うべきですか?
同じサービスを利用すれば資産管理や送金の手間を抑えやすくなりますが、必ずしも同じサービスにそろえる必要はありません。
積立では購入条件や対応通貨、レンディングでは利率や最低貸出数量、募集方式、返還条件などを確認し、それぞれの目的に合うサービスを選ぶ方法もあります。
レンディングで得た貸借料には税金がかかりますか?
レンディングで貸借料を受け取った場合は、税務上の扱いを確認する必要があります。受け取った暗号資産をそのまま保有している場合でも、受取時の評価額や、その後に売却した際の損益が税金の計算に関係することがあります。
課税されるタイミングや計算方法、確定申告については、「仮想通貨レンディングの税金はどうなる?貸借料の課税タイミング・計算方法・確定申告を解説」で詳しく解説しています。
まとめ
仮想通貨積立では、継続的な購入によって保有数量を増やしていけますが、購入後にそのまま保有しているだけでは数量自体は増えません。資産額は、積み立てた数量とその後の価格変動によって大きく左右されます。
そこにレンディングを加えると、当面使わない仮想通貨を貸し出し、保有中にも貸借料を得るという運用が可能になります。貸借料を同じ暗号資産で受け取る場合は、積立による買い増しとは別に保有数量を増やせるため、積立のみの場合とは資産の増え方が変わります。
特に長期保有を前提としている場合は、積立による「購入」とレンディングによる「保有資産の活用」を組み合わせることで、値上がりを待つ期間も資産を活用できます。
ただし、実際に得られる貸借料は表示利率だけでは決まりません。貸出期間や最低貸出数量、募集状況、送金コスト、返還条件などによって運用結果は変わり、仮想通貨そのものの価格下落リスクも残ります。
積立した資産をすべて貸し出すのではなく、長期保有する予定の資産のうち、当面売却や送金をしない分をレンディングに回すことから検討するとよいでしょう。
長期保有する予定の資産のうち、当面売却や送金をしない分をレンディングに回すことから検討するとよいでしょう。各社の利率や最低貸出数量などの条件を比較したい場合は、「仮想通貨レンディングおすすめ8社を比較」も参考にしてみてください。
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