
「仮想通貨を長期で持っているけれど、ただウォレットに寝かせているだけになっている気がする…」。そんなモヤモヤを感じたことはないでしょうか。
本記事では、保有している通貨を「貸す」「担保にして借りる」というDeFiレンディングの基本から、メリット・リスク、具体的な活用パターンまでを初心者向けにわかりやすく解説します。
「高利回りだから」と闇雲に飛びつくのではなく、清算リスクや資金管理ルールも踏まえながら、仮想通貨を「寝かせずに活かす」ための効率的な資金戦略を一緒に整理していきましょう。
DeFiレンディング・借り入れとは?
仮想通貨を長期保有していると、「ただウォレットに眠らせているだけになっていないか」と感じることがあります。そこで登場するのが、保有通貨を貸し出して利息を得たり、担保にして資金を借りたりできる DeFi分散型金融サービス を利用したレンディング・借り入れです。
DeFiレンディングでは、ユーザーがプールに仮想通貨を預けることで「貸し手」となり、その資金を借りたいユーザーが担保を差し入れて「借り手」となります。銀行や取引所のような管理者を介さず、 あらかじめ条件がコードとして書かれた スマートコントラクト条件満たすと自動実行 が、金利の計算や清算処理を自動で行ってくれる点が特徴です。
また、取引所が提供するレンディング(貸暗号資産)やステーキングと異なり、DeFiレンディングはプロトコルごとに金利や対応通貨、リスク構造が大きく違います。まずは中央集権型サービスとの違いをざっくり整理しておきましょう。
| 項目 | 中央集権型レンディング | DeFiレンディング |
|---|---|---|
| 管理者 | 取引所や運営企業が資産を管理 | プロトコルとスマートコントラクトが管理 |
| 利率の決まり方 | 運営側が決める、変更タイミングも不透明なことが多い | 借入需要と供給量によって自動で変動 |
| 預け入れ・引き出し | 営業時間や手続きに制約がある場合がある | 原則として24時間いつでも可能 |
| 主なリスク | 運営破綻やハッキング、規制リスク | スマートコントラクトのバグ、価格急変、規制リスク |
同じ「仮想通貨を預けて利回りを得る」サービスでも、仕組みが大きく異なるため、どこに資産を置いているのかを理解しておくことが重要です。
DeFiそのものの全体像や、代表的なサービスの種類を基礎から整理したい場合は、 DeFiとは?銀行なしで資産運用する次世代の金融サービスをわかりやすく解説! もあわせてチェックしてみてください。
「まずは取引所が提供するサービスから試したい」という場合は、
積立・貸暗号資産・ステーキング・NFT・IEOなど、
取引所内でできる運用手段を把握しておくと比較しやすくなります。
コインチェックで利用できる主なサービスは、
コインチェックでできること完全ガイド|積立・IEO・NFT・ステーキング・でんき/ガス活用
でまとめているので、「DeFiレンディングと取引所サービスをどう使い分けるか」を考える際の参考にしてみてください。
なぜ仮想通貨を「寝かせない」べきなのか?
仮想通貨を長期保有する投資家の多くは、「値上がり益(キャピタルゲイン)」だけに期待していることが少なくありません。しかし、価格が思ったように動かない期間が長引くと、その間の資金効率はどうしても低くなります。
もちろん、何もせず現物をウォレットで保管しておく「現物ガチホ」戦略も一つの選択肢です。ただし、そうした戦略しか知らない状態でなんとなく保有を続けるのと、他の選択肢を理解したうえで「敢えて寝かせる」という判断をしているのとでは、リスクの取り方も心理的な納得感も大きく変わります。
レンディングや借り入れを活用すれば、保有資産から利息を得たり、一時的に流動性を確保したりといった選択肢が増えます。一方で、レバレッジを効かせすぎると、価格急落時に大きな損失を抱えるリスクも高まります。 「資産を動かす=常に良い」とは限らないという前提を忘れず、「動かす価値がある場面だけ動かす」ためのルール作りが重要です。
DeFiレンディングの基本構造と金利の決まり方
DeFiレンディングの基本構造は、シンプルに言えば「資金プール」と「担保付き借り入れ」の組み合わせです。貸し手が預けた通貨は一つのプールにまとめられ、借り手は所定の通貨を担保として差し入れることで、そのプールから別の通貨を借りることができます。
金利は多くの場合、プールの「利用率」に応じて自動的に変動します。借りたい人が多くてプール内の資金が少なくなると金利は上昇し、逆に資金が潤沢なときは金利が下がる、といった形でバランスを取っています。
借り入れの上限を考えるうえで重要なのが、 LTV担保に対する借入比率 という考え方です。例えば「LTV最大70%」という条件なら、10万円分の担保を入れると最大7万円分まで借りられるイメージになります。ただし、担保となる通貨の価格が下がると、同じ借入額でもLTVは上昇していきます。
LTVが一定のラインを超えると、プロトコルは担保の一部を自動的に売却し、借入残高を返済する 清算強制的に担保売却 を行います。これによりプロトコル全体としては安全性を保てますが、ユーザー視点では「知らないうちに担保を売られてしまった」という事態になりかねません。
清算ラインぎりぎりまで借りないことが、長期運用では何より重要です。 一般的には、プロトコルの最大LTVよりもかなり低い水準(たとえば半分程度)を、自分なりの「上限ライン」として設定しておくと安心です。
レンディングで仮想通貨を増やすメリット
DeFiレンディングの一番わかりやすいメリットは、「保有しているだけの通貨から利息を得られる」ことです。長期的に売る予定のない銘柄をプールに預けておけば、値上がりを待ちながら利息を受け取ることができます。
さらに、値動きの大きい通貨ではなく、 ステーブルコイン価格変動抑える通貨 を使ってレンディングを行えば、ボラティリティを抑えつつ利回りを狙うことも可能です。とくにドル連動型のステーブルコインは、法定通貨建てでリターンを把握しやすい点もメリットです。
利用するプロトコルを分散させることで、特定の取引所やサービスに資産を集中させずに済むという意味でのリスク分散効果もあります。ただし、プロトコルを増やしすぎると管理が煩雑になり、どこにいくら預けているのか把握しづらくなる点には注意が必要です。
代表的な運用イメージを、ざっくり比較すると次のようになります。
| 運用パターン | 主なメリット | 向いている投資家 |
|---|---|---|
| 長期保有銘柄を預ける | 値上がりを待ちながら利息も得られる | 売却予定が当面ない長期ホルダー |
| ステーブルコインを預ける | 価格変動を抑えながら利回りを狙える | リスクを抑えつつドル建てで増やしたい人 |
| 担保を入れて借り入れも行う | 保有銘柄を売らずに流動性を確保できる | 税金や支払いなど短期的な資金需要がある人 |
DeFiレンディングの主なリスクと注意点
魅力的な利回りが提示されている一方で、DeFiレンディングには特有のリスクも存在します。代表的なものを把握しておき、自分が許容できる範囲かどうかを考えることが欠かせません。
主なリスクは次のように整理できます。
- 価格急落による清算リスク(担保価格が下がり、LTVが急上昇するリスク)
- スマートコントラクトのバグやハッキングによる資産流出リスク
- ステーブルコインのペッグ外れやオラクルの不具合による価格乖離
- プロトコルのガバナンス変更や運営不透明化によるルール変更リスク
- ガス代高騰やネットワーク混雑によるコスト増加・取引遅延
とくに「利回りが高いから」という理由だけでマイナーなプロトコルに大きな資金を預けるのは危険です。 過去には、監査済みをうたうプロトコルでもハッキングやバグによって多額の資産が失われた事例があります。利回りと安全性はトレードオフになりがちなので、目先の数字だけで判断しないようにしましょう。
DeFi全体の利回りの仕組みや、「高利回りの裏側にどんなリスクがあるか」をもう少し広い視点で整理したい場合は、 【DeFi投資】なぜ利回りは高いのか?非中央集権型の仕組みとリスクの種類を解説 もあわせて読んでおくと、この章で挙げたリスクの位置づけがよりイメージしやすくなります。
こうしたリスクは完全には避けられませんが、預ける金額を抑える、複数のプロトコルに分散する、信頼性の高いチェーンやプロトコルを優先するなど、コントロールできる部分も多くあります。
なお、DeFiレンディングのリスクだけでなく、
取引所に資産を預ける場合のリスクやセキュリティ対策も合わせて理解しておくと、
「どこにどこまで預けるか」の判断がしやすくなります。
コインチェックの過去のハッキング事例と、現在の安全性・管理体制については
コインチェックは危ない?過去のハッキングと現在の安全性のポイント
で詳しく解説しているので、
CeFiとDeFiそれぞれのリスクを比較する材料としてチェックしてみてください。
実践ステップ:レンディングを始める手順
ここからは、実際にDeFiレンディングを始めるまでの流れを、できるだけシンプルに整理してみます。細かな操作はプロトコルごとに異なりますが、基本的な手順は共通しています。
一般的な手順は次のようなイメージです。
メタマスクなど対応ウォレットを用意し、シードフレーズを安全に保管する。
利用したいチェーンとプロトコルを選び、信頼性や実績、 TVL預け入れ資産の合計額 などを確認する。
取引所から対象チェーンの通貨をウォレットに送金し、着金を確認する。
プロトコルの画面で「供給」や「Deposit」などのボタンから少額を預け入れてみる。
ダッシュボードで預け入れ残高と利息の増え方を確認し、問題がなければ徐々に金額を増やす。
そもそもウォレットの役割や種類の違いから整理しておきたい場合は、 ウォレットとは?仮想通貨の保管方法・種類・セキュリティ対策を初心者向けに徹底解説! を先に読んでおくと、「どのウォレットをどう使うか」がイメージしやすくなります。
最初は、操作ミスやネットワーク設定の誤りに気付きやすいよう、かなり少額から試すのがおすすめです。画面表示や用語に慣れてから、あらためて自分のリスク許容度に合う金額まで増やしていくと、心理的な負担も軽くなります。
まだ「どの国内取引所で仮想通貨を買うか」を決めていない場合は、
まずは口座開設の流れや手数料・使いやすさを把握しておくとスムーズです。
たとえばコインチェックについては、
Coincheck(コインチェック)は初心者向き?特徴・メリット・デメリット・評判・始め方を徹底解説【アプリ国内No.1】
で、特徴やメリット・デメリット、スマホアプリでの始め方までまとめているので、
「まずどこで通貨を用意するか」を検討する際に役立ちます。
ウォレットのシードフレーズや秘密鍵は、誰にも共有してはいけません。一度盗まれてしまうと、仮想通貨を取り戻す手段は基本的に存在しません。 メモの写真をクラウドに保存する、メールにそのまま書くといった行為も避け、オフラインでの保管方法を徹底しましょう。
「借り入れ」を資金戦略に組み込む具体例
レンディングは「貸す側」と「借りる側」の両方の機能を持っているため、使い方によってはキャッシュフローの改善や税金対策などにも活用できます。一方で、借り入れはリスクも大きくなるため、目的をはっきりさせたうえで利用することが欠かせません。
代表的な活用パターンは次のようなイメージです。
- 売りたくない長期保有銘柄を担保にして、一時的にステーブルコインを借り、生活費や税金の支払いに充てる。
- 大きな下落局面で追加投資したいときに備え、現金化のタイミングを待たずに資金を用意する。
- 価格が上がると見ている銘柄を担保にして同じ銘柄や関連銘柄を追加で購入し、レバレッジを効かせる。
とくに最後のレバレッジ目的の借り入れは、うまくいけばリターンを大きく伸ばせる一方で、想定外の下落が来たときに清算リスクが一気に高まります。「借りた資金でさらに同じ通貨を買う」行為は、実質的にレバレッジ取引とほぼ同じであるという認識を持っておきましょう。
失敗しないための資金管理ルールの作り方
DeFiレンディングを長く続けていくうえで鍵になるのが、「自分なりの資金管理ルール」を事前に決めておくことです。ルールがないまま運用を続けると、相場が荒れたときにその場の感情で判断してしまいがちです。
たとえば、次のような基準をあらかじめ決めておくと、冷静な判断がしやすくなります。
実際に金額を入れる前に、次の項目を自分なりに決めておきましょう。
- DeFiレンディングに回すのは、総資産の何%までにするか。
- 担保に対する借入上限(自分なりのLTV上限)を何%にするか。
- どの価格まで下がったら担保を追加するか、あるいはポジションを縮小するか。
- どのプロトコルにどのくらい配分するか(チェーン・プロトコルの分散方針)。
これらのルールは、相場が落ち着いているときに決めておくことが大切です。 相場が急変してから考えると、冷静な判断が難しくなってしまいます。
ポートフォリオ全体で「仮想通貨」「DeFi」にどこまで割り振るかという考え方は、 リスク許容度から逆算するポートフォリオ戦略|仮想通貨を「全財産」にしない線引き で具体例とともに解説しています。総資産の中でのDeFiレンディングの位置付けを決めるときに役立ちます。
ルールは一度決めたら絶対に変えてはいけない、というものではありません。実際に運用してみて「この条件だと厳しすぎる」「ここは緩めすぎた」と感じた部分は、記録を振り返りながら少しずつ調整していくと良いでしょう。
また、資金管理ルールを考える際には、
「すべてをDeFiレンディングに回す」のではなく、
現物の長期保有や積立投資など、よりシンプルな手段と組み合わせることも重要です。
たとえばコインチェックの積立サービスについては、
コインチェックつみたてはどう?メリット・デメリットとおすすめ活用法を初心者向けに解説
で最低金額や毎日/月イチプランの特徴を整理しているので、
「どのくらいをレンディングに、どのくらいを積立などに回すか」を考えるヒントになります。
よくある失敗パターンと回避策
初めてDeFiレンディングを利用する人がつまずきやすいポイントは、ある程度パターン化されています。事前に知っておくだけでも、多くの失敗を避けることができます。
- 高利回りだけを見てマイナーなプロトコルに全資産を預ける。
- LTVを最大近くまで引き上げ、「あと少しの下落」で清算されてしまう。
- 担保通貨と借入通貨の値動きの相関を考えず、同じ方向に動く通貨同士でポジションを組む。
- ステーブルコインにも発行体リスクやペッグ外れリスクがあることを軽視する。
- 生活費や緊急資金までレンディングに回してしまい、相場急変時に身動きが取れなくなる。
こうした失敗の多くは、「どの資金をどこまで運用に回すか」という線引きと、「レンディングはあくまで選択肢の一つに過ぎない」という意識を持つことでかなり防げます。迷ったときは、まず金額を減らし、リスクを取らない側に振るのが無難です。
仮想通貨全般で「損しやすい人の共通点」や具体的なNG行動については、 仮想通貨で損する人はこんな人|共通点と回避策 でまとめています。レンディングに限らず、自分の行動パターンを客観視するヒントとしてあわせてチェックしてみてください。
初心者向けQ&A

Q. レンディングとステーキングは何が違うの?
レンディングは「資金をプールに預けて、誰かの借り入れに使ってもらう代わりに利息をもらう」仕組みです。一方でステーキングは、多くの場合、そのチェーンの運営やブロック生成に参加することで報酬を得る仕組みを指します。同じ「預けて増やす」でも、リスクの種類や報酬の源泉が異なる点に注意しましょう。
Q. どのくらいの金額から始めればいい?
手数料(ガス代)や自分の総資産とのバランスによりますが、最初は「なくなっても生活に一切影響がない金額」にとどめるのがおすすめです。慣れてきたら、徐々に割合を増やしていく形でも遅くはありません。
「そもそもどこまでを余剰資金と考えるべきか分からない」という場合は、 なぜ「余剰資金」以外で投資してはいけないのか?生活を守る資金計画の立て方 で生活防衛資金と投資資金の線引きを整理しているので、レンディングに回す上限を決める際の参考になります。
Q. 清算されそうになったらどうすればいい?
担保の価格が大きく下がり、清算ラインに近づいていると感じたら、担保を追加するか、借入額の一部を返済することでLTVを下げるのが基本です。そのためにも、普段から余裕資金を残しておき、相場が荒れたときにも動けるようにしておきましょう。
Q. レバレッジ目的の借り入れはやめたほうがいい?
経験豊富なトレーダーが明確なルールのもとで行うのであれば一つの戦略になり得ますが、初心者がいきなりレバレッジ目的で借り入れを行うのはおすすめできません。まずは「貸し出しのみ」で仕組みに慣れ、自分の心理的な許容度を把握してから検討しても遅くはありません。
まとめ|「増やすため」だけでなく「守るため」のレンディング活用を
DeFiレンディングや借り入れは、仮想通貨を単にウォレットに寝かせておくのではなく、「働かせる」ための強力なツールです。一方で、価格急落による清算リスクやスマートコントラクトの脆弱性など、従来の金融商品とは異なるリスクも抱えています。
大切なのは、レンディングを「資産を増やすための手段」であると同時に「資産を守るための手段」として位置付けることです。生活防衛資金をきちんと分け、無理のない範囲で少額から試し、自分なりの資金管理ルールを整えながら規模を調整していきましょう。
そのうえで、分散投資やポートフォリオ管理、リスク許容度の考え方などと組み合わせれば、仮想通貨を「寝かせずに活かす」戦略の幅は大きく広がります。興味があれば、関連するリスク管理の記事やポートフォリオ戦略の記事もあわせてチェックしてみてください。

