ETC(イーサクラシック)とは?

イーサリアムクラシックは、スマートコントラクトや分散型アプリを実行できる、Proof of Work方式のブロックチェーンです。
2016年に発生したThe DAO事件への対応をめぐってEthereumのネットワークが分岐した際に、取引履歴を変更しないチェーンとして継続しました。
ネイティブ通貨のETCは、送金、スマートコントラクトの実行手数料、マイニング報酬、ネットワーク上のアプリやトークンの利用に使われます。
イーサリアムクラシックはEthereumと共通の歴史や開発環境を持ちますが、現在は異なるルールで稼働する別のブロックチェーンです。
この記事では、イーサリアムクラシックの成り立ち、ETCの用途、マイニング、供給設計、対応ウォレット、メリット・デメリットについて解説します。
イーサクラシックとは?

イーサリアムクラシックは、2016年のEthereum分岐時に、The DAO事件以前から続く取引履歴を変更せずに継承したブロックチェーンです。
EthereumとEthereum Classicは、2015年7月に公開された同じネットワークとして始まりました。
2016年にEthereum上の投資プロジェクト「The DAO」のスマートコントラクトから資産が流出し、その取引結果を変更するかどうかをめぐって意見が分かれました。
2016年7月20日のブロック1,920,000で、The DAOに関する資産移動を変更するチェーンと、変更しないチェーンに分岐しました。
状態変更を採用したチェーンが現在のEthereumとなり、元の取引履歴を維持したチェーンがEthereum Classicと呼ばれるようになりました。
ETCは、送金や決済だけでなく、スマートコントラクトを実行する際のガス代として使用されます。
Ethereumと同じくEVMに対応しているため、Solidityを使ったアプリやトークンを構築できます。
イーサリアムクラシックには、ネットワーク全体を所有したり、単独でルールを決定したりする企業や財団はありません。
開発者、マイナー、ノード運営者、取引所、ウォレット事業者、利用者などが、それぞれ独立してネットワークへ参加しています。
プロトコルの変更案は、ECIP(ETCの改善提案制度)として公開され、技術的な検討やコミュニティでの議論が行われます。
提案が公開されても自動的に採用されるわけではなく、クライアント開発者、マイナー、ノード運営者などが対応ソフトウェアを使用することでネットワークへ反映されます。
ETC Cooperativeをはじめとする団体や個人が、クライアント開発、インフラ、教育、イベントなどを支援しています。
ただし、これらの組織もEthereum Classic全体を代表したり、すべての参加者へ命令したりする権限はありません。
中央管理者がいないことは特定組織による支配を受けにくい一方、開発資金の確保やアップグレードの合意形成に時間がかかる可能性があります。
信頼性を判断する際は、特定団体の発表だけでなく、ECIPの状況、クライアントの実装、マイナーの対応、ネットワークの稼働状況を確認する必要があります。
以下に、イーサリアムクラシック(ETC)の基本情報を一覧表でまとめました。
| 名前 | イーサリアムクラシック(Ethereum Classic) |
|---|---|
| 単位 | ETC |
| 最高発行枚数 | 最大約210,700,000 ETC |
| 使用開始日 | 2015年7月30日(原チェーン公開)、2016年7月20日(Ethereumとの分岐) |
| 作成者 | Vitalik ButerinらEthereum創設メンバー、分岐後はEthereum Classicコミュニティが継続 |
| コンセンサスアルゴリズム | Proof of Work(ETChash) |
| 主な用途 | 送金、ガス代、マイニング報酬、スマートコントラクト、DApp、トークン発行 |
| スマートコントラクト対応 | 対応(Ethereum Virtual Machineと互換性あり) |
| チェーンの名称 | Ethereum Classic Mainnet |
| 公式サイト | Ethereum Classic公式コミュニティサイト |
Ethereum ClassicとEthereumは共通の技術を基礎としていますが、分岐後は異なる方針で開発されています。
主な違いは以下のとおりです。
| 比較項目 | Ethereum Classic | Ethereum |
|---|---|---|
| 通貨単位 | ETC | ETH |
| 分岐時の対応 | The DAOに関する取引履歴を変更しなかった | ハードフォークにより資産の状態を変更した |
| 承認方式 | Proof of Work | Proof of Stake |
| 供給設計 | 上限約2億1,070万ETC | 固定上限なし |
| ブロック生成への参加 | マイニング機器で参加する | ETHをステーキングして参加する |
| チェーンID | 61 | 1 |
| スマートコントラクト | EVMに対応 | EVMに対応 |
イーサクラシックの特徴

イーサリアムクラシックは、取引履歴を変更しない方針、Proof of Work、上限のある供給設計、EVMとの互換性を組み合わせています。
ここでは、Ethereum Classicを理解するうえで重要な特徴を解説します。
2016年の分岐前から続く取引履歴を維持している
Ethereum Classicは、2015年に公開されたEthereumの取引履歴を、The DAO事件後も変更せずに引き継いでいます。
The DAOはEthereum上に構築された投資プロジェクトでしたが、スマートコントラクトの不具合を利用され、大量の資産が移動しました。
その後、資産の状態を変更して被害を受けた利用者へ戻すハードフォークが提案されました。
この変更へ対応したチェーンが現在のEthereumとなり、対応しなかったチェーンがEthereum Classicとして継続しました。
Ethereum Classicでは、この考え方をCode is Law(記録された結果を尊重)という言葉で表します。
スマートコントラクトの結果を、特定の組織や参加者の判断で後から変更しないことを重視する方針です。
ただし、Code is Lawは、スマートコントラクトに不具合があっても安全であることを意味しません。
一度実行された処理を変更しにくいからこそ、利用前の監査やコード確認が重要になります。
ETChashを使ったProof of Workを採用する
Ethereum Classicでは、計算処理によってブロックを生成するProof of Work(計算競争による承認方式)を採用しています。
取引を承認する流れやメリット・課題については、PoWとは?計算競争によって取引を承認する仕組みで解説しています。
マイナーは、取引をまとめたブロックに対して条件を満たす計算結果を探します。
有効なブロックを生成したマイナーは、新たに発行されるETCと取引手数料を受け取れます。
採用しているマイニングアルゴリズムはETChash(ETC向けの採掘方式)です。
Ethereumが以前使用していたEthashを基礎とし、マイニングに必要なDAGファイルの増加方法などが調整されています。
Ethereumは2022年にProof of Stakeへ移行しましたが、Ethereum ClassicはProof of Workを継続しています。
これにより、以前Ethereumを採掘していた一部のGPUやASICをETCのマイニングへ利用できます。
約2億1,070万ETCの供給上限を設定している
Ethereum Classicでは、ECIP-1017によって将来の発行スケジュールが定められています。
ETCのブロック報酬は、500万ブロックごとに20%削減されます。
この仕組みは5M20(500万ごとに20%減少)と呼ばれています。
| 期間 | ブロック範囲 | 基本報酬 |
|---|---|---|
| 第1期 | 1~5,000,000 | 5 ETC |
| 第2期 | 5,000,001~10,000,000 | 4 ETC |
| 第3期 | 10,000,001~15,000,000 | 3.2 ETC |
| 第4期 | 15,000,001~20,000,000 | 2.56 ETC |
| 第5期 | 20,000,001~25,000,000 | 2.048 ETC |
| 第6期 | 25,000,001~30,000,000 | 1.6384 ETC |
20%の報酬削減は、半減ではなく5分の1を減らすため、コミュニティではFifthening(報酬を20%減らす節目)とも呼ばれます。
報酬は段階的に小さくなり、理論上の最大供給量は約2億1,070万ETCに収束します。
アンクルブロックの発生状況によって実際の最終供給量は上限より少なくなる可能性があります。
供給上限があることは価格上昇を保証するものではなく、需要が増えなければ希少性だけで価値が上がるとは限りません。
Ethereum Virtual Machineと互換性がある
Ethereum Classicは、スマートコントラクトを実行するEthereum Virtual Machine(契約を実行する共通環境)に対応しています。
開発者は、Solidity、MetaMask、Remix、Hardhatなど、Ethereum向けに利用されている言語や開発ツールを活用できます。
Ethereum向けのスマートコントラクトを参考にしながら、Ethereum Classic上でトークン、NFT、分散型取引所、ゲーム、金融アプリなどを開発できます。
ただし、EthereumとEthereum Classicでは、ネットワーク、チェーンID、取引履歴、流動性、利用できるサービスが異なります。
Ethereum上のスマートコントラクトや資産が、Ethereum Classic上で自動的に利用できるわけではありません。
取引手数料としてETCを使用する
Ethereum Classic上でETCやトークンを送金したり、スマートコントラクトを実行したりする際は、ガス代としてETCを支払います。
ガス(処理量を表す単位)は、ブロックチェーン上で実行する計算量や保存量を表します。
単純なETC送金より、複雑なスマートコントラクトを実行する方が多くのガスを使用します。
利用者が支払った取引手数料は、ブロックを生成したマイナーの収入になります。
マイナーは基本のブロック報酬に加えて、ブロックへ含めた取引の手数料を受け取ります。
ETCを使ってトークンを受け取っても、ウォレット内にガス代用のETCがなければ、そのトークンを送金できない場合があります。
過去の51%攻撃を受けて対策を強化している
Ethereum Classicでは、過去に攻撃者が一時的に大量の計算能力を確保し、ブロックチェーンを再編成する51%攻撃が複数回発生しました。
51%攻撃(計算力で履歴を再編する攻撃)では、すでに承認された取引を含むチェーンより長い別のチェーンを作り、二重支払いを行う可能性があります。
対策として、取引所ではETC入金時の確認回数を増やす対応が行われました。
ネットワーク側でも、ETChashへの変更や、大規模なチェーン再編を受け入れにくくするMESS(長い再編を抑える仕組み)などが導入されています。
Ethereumが2022年にProof of Stakeへ移行した後は、Ethereum向けだった計算能力の一部がEthereum Classicへ移り、ネットワーク全体のハッシュレートも増加しました。
ただし、Proof of Workを採用する以上、51%攻撃の可能性を完全にゼロにすることはできません。
高額なETCを取引所へ送る場合は、必要な承認回数と入金反映までの時間を確認する必要があります。
中央管理者を置かずに改善案を検討する
Ethereum Classicのプロトコル変更は、企業の経営陣や財団の代表者だけで決定されるものではありません。
改善案はECIPとして公開され、開発者、マイナー、ノード運営者、サービス事業者などが内容を検討します。
合意されたアップグレードを採用するには、ノードやマイナーが対応クライアントへ更新する必要があります。
十分な参加者が更新しなければ、ネットワークが複数のチェーンへ分かれる可能性もあります。
この仕組みは、特定組織による一方的な変更を防ぎやすい一方、意見が分かれた場合に意思決定や実装が遅れる要因になります。
他通貨との比較

この通貨の特徴をより深く理解するために、異なる通貨である イーサクラシック(ETC)、イーサリアム(ETH)、ビットコインキャッシュ(BCH) と比較してみましょう。それぞれの将来性や価格変動の傾向、初心者への適性を5段階で評価しています。興味のある通貨があれば、各リンクから詳しい辞書ページもあわせてご覧ください。
※この比較表は、2026年時点での情報や市場状況をもとに、初心者の方にもわかりやすく評価したものです。実際の投資判断は、ご自身の目的やリスク許容度に応じて行ってください。
イーサクラシックの利用シーン

Ethereum Classicは、ETCの送受信や保有だけでなく、マイニング、スマートコントラクト、トークン発行、分散型アプリなどに利用できます。
個人と企業・開発プロジェクトでは利用目的が異なるため、それぞれの代表的な利用シーンを整理します。
個人での利用シーン
個人は、ETCを取引所やウォレット間で送受信したり、マイニングへ参加したり、Ethereum Classic上のアプリを利用したりできます。
ETCを送金・保有する
ETCは、Ethereum Classicに対応した取引所やウォレット間で送受信できます。
国や銀行の営業時間に関係なく、Ethereum Classicのアドレスへ資産を移動できます。
ETCには発行上限と段階的な報酬削減が設定されているため、供給設計を重視して長期保有する利用者もいます。
ただし、価格は需要、取引量、マイニング環境、開発状況、市場全体の影響を受けます。
発行上限があることだけを理由に、価格上昇を前提としないようにしましょう。
マイニングや分散型アプリを利用する
対応するGPUやASICを保有している場合は、ETChashのマイニングへ参加できます。
個人でブロックを発見するのが難しい場合は、複数のマイナーが計算能力をまとめるマイニングプールを利用できます。
必要な設備や報酬を受け取る仕組みについては、マイニングとは?仮想通貨の取引承認と報酬の仕組みで解説しています。
Ethereum Classic上の分散型取引所、NFT、ゲームなどを利用する場合は、MetaMaskなどの対応ウォレットを接続します。
操作に必要なガス代はETCで支払います。
DAppを利用する際は、ネットワークがEthereum Classicになっているか、接続先やスマートコントラクトが信頼できるかを確認する必要があります。
企業やプロジェクトでの利用シーン
企業や開発プロジェクトは、改ざんしにくい記録の保存、スマートコントラクトによる処理の自動化、トークンやデジタル資産の発行などにEthereum Classicを利用できます。
変更しにくい記録や契約処理を構築する
商品の移動履歴、証明書、権利情報、契約の実行結果などをEthereum Classicへ記録できます。
Proof of Workで継続する公開ネットワークへ記録することで、特定企業のデータベースだけに依存せず、外部から処理結果を検証できます。
ただし、ブロックチェーンへ書き込んだ情報が正しいかどうかは、入力方法や管理者の運用にも依存します。
誤った情報を記録しても、自動的に事実へ修正されるわけではありません。
EVM対応のアプリやトークンを展開する
開発者はSolidityやEthereum向けの開発ツールを利用して、トークン、NFT、分散型取引所、決済、ゲームなどを構築できます。
Ethereum向けに作成したコードや開発知識を活用しやすいため、独自のプログラミング環境を一から学ぶ負担を抑えられます。
一方、EthereumとEthereum Classicでは、利用者数、流動性、対応ウォレット、外部サービスなどが異なります。
コードを配置できることと、十分な利用者や資金を集められることは別の問題です。
イーサクラシックの管理方法と対応ウォレット

ETCは、暗号資産取引所で管理する方法と、自分で秘密鍵を管理するウォレットへ送金する方法があります。
取引所で管理すると売買しやすい一方、Ethereum Classic上のDAppやトークンを自由に利用できるとは限りません。
自分のウォレットへ送金するとネットワーク機能を利用できますが、秘密鍵、送金先、ネットワークを自分で管理する必要があります。
ETCに対応した主なウォレット
以下は、ETCに対応している代表的なウォレットと、それぞれの特徴です。
| ウォレット名 | 種類 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| MetaMask | ブラウザ拡張・スマートフォンアプリ | Ethereum Classicを追加し、ETCの送受信やDApp接続に利用できる |
| Exodus | デスクトップ・スマートフォンアプリ | ETCを含む複数の暗号資産を一つのウォレットで管理できる |
| Ledger | ハードウェアウォレット | 秘密鍵を専用端末内で管理し、ETCの長期保管に利用できる |
MetaMaskへEthereum Classicを追加する場合は、ネットワーク名、RPC、通貨記号、ブロックエクスプローラーなどを設定します。
Ethereum Classic MainnetのチェーンIDは61です。
RPCやブロックエクスプローラーの提供状況は変更される可能性があります。
古い設定例をそのまま使用せず、利用時点のコミュニティサイトや信頼できるネットワーク一覧から確認してください。
利用目的に応じたウォレットの利点
ETCを売買するだけであれば、対応する暗号資産取引所で管理する方法があります。
秘密鍵やRPCを自分で設定する必要はありませんが、取引所の停止や入出金制限の影響を受けます。
Ethereum Classic上のDAppやトークンを利用する場合は、MetaMaskなどのWeb3ウォレットが選択肢になります。
ネットワークをEthereum Classicへ切り替え、操作時のガス代をETCで支払います。
ETCを含む複数通貨をまとめて確認したい場合は、Exodusのようなマルチカレンシーウォレットを利用できます。
ただし、すべてのEthereum Classic上のDAppや独自トークンに対応するとは限りません。
長期間使用しないETCを自分で保管する場合は、Ledgerなどのハードウェアウォレットが候補になります。
売買用は取引所、DApp利用分はソフトウェアウォレット、長期保管分はハードウェアウォレットというように分ける方法もあります。
保管方法を決める際は、ハードウォレットとソフトウォレットの安全性・使いやすさの違いも確認しておきましょう。
ウォレット利用時の注意点
ETCを自分で管理する場合は、秘密鍵の保護だけでなく、EthereumとEthereum Classicのネットワークを混同しないことが重要です。
特に注意したい点は以下のとおりです。
- 取引所がEthereum Classicの入出金に対応しているか確認する
- 送金時のネットワークとチェーンIDが61であることを確認する
- RPCやウォレットは信頼できる配布元から設定する
- 初めて利用する送金先では少額で着金を確認する
- 取引所が指定する入金確認回数を確認する
EthereumとEthereum Classicのアドレスは、どちらも「0x」から始まる同じ形式です。
アドレスの形だけでは、送金先がどちらのネットワークに対応しているか判断できません。
Ethereum用の入金先へETCを送っても、自動的にETHへ変換されたり、入金へ反映されたりするわけではありません。
取引所やサービスへ送金する前に、ETCの入金画面で発行されたアドレスであることを確認してください。
また、Ethereum Classic上のトークンを送金する場合も、ガス代としてETCが必要です。
トークンだけをウォレットへ保有していると、ETC不足で資産を移動できない場合があります。
シードフレーズや秘密鍵は他人へ教えず、クラウドストレージやメッセージアプリへ保存しないようにしましょう。
イーサクラシックのメリット

Ethereum Classicには、Proof of Workでスマートコントラクトを実行できることや、予測可能な供給設計を持つことなどのメリットがあります。
主なメリットは以下のとおりです。
- Proof of Workでスマートコントラクトを実行できる
- ETCの供給上限と発行スケジュールが決まっている
- Ethereum向けの開発環境を活用できる
- 許可を得ずにマイニングへ参加できる
- 取引履歴を変更しない方針を重視している
Proof of Workでスマートコントラクトを実行できる
Ethereum Classicは、マイニングによって取引を承認しながら、EVM上でスマートコントラクトを実行できます。
BitcoinのようにProof of Workを重視しつつ、トークン、NFT、金融アプリなどを構築できる点が特徴です。
Proof of Stakeへ移行したEthereumとは異なる選択肢として、計算能力で保護されるEVM対応ネットワークを利用できます。
ETCの供給上限と発行スケジュールが決まっている
ETCは、500万ブロックごとに基本報酬を20%削減するルールを採用しています。
将来の発行量を計算しやすく、特定の運営組織が判断して大量のETCを追加発行する仕組みはありません。
新規発行量が段階的に減少するため、長期的には既存のETCに対する供給増加率も低下します。
ただし、供給が限られていても、利用者やアプリの需要が減少すれば市場価格が下落する可能性があります。
Ethereum向けの開発環境を活用できる
Ethereum ClassicはEVMに対応しているため、SolidityやEthereum向けの開発ツールを利用できます。
開発者は、新しいプログラミング言語や実行環境を一から学ばずに、既存の知識を活用してスマートコントラクトを作成できます。
Ethereum向けに公開されているライブラリやコードを参考にできるため、開発を始める際の技術的な負担を抑えやすい点もメリットです。
許可を得ずにマイニングへ参加できる
Ethereum Classicでブロック生成へ参加するために、財団や企業から承認を受ける必要はありません。
ETChashに対応する機器とソフトウェアを用意し、ノードやマイニングプールへ接続すれば参加できます。
世界各地のマイナーが計算能力を提供することで、特定組織だけに取引承認を依存しないネットワークを構成できます。
取引履歴を変更しない方針を重視している
Ethereum Classicでは、アプリ上の損失や運営上の問題を理由として、ブロックチェーンの記録を後から変更しないことを重視しています。
利用者は、特定組織の判断で自分の取引結果が書き換えられないことを前提として、スマートコントラクトを利用できます。
一方、この方針ではスマートコントラクトの不具合によって損失が発生しても、ネットワーク全体の変更による救済を期待できません。
利用者自身による確認やリスク管理が必要です。
イーサクラシックの注意点・リスク

Ethereum Classicは明確な方針と供給設計を持つ一方、過去の攻撃、マイニングコスト、サービスの対応状況などを考慮する必要があります。
主なデメリットは以下のとおりです。
- 過去に51%攻撃を受けている
- 取引所への入金確認に時間がかかる場合がある
- マイニングに設備と電力が必要になる
- Ethereumと比べて対応サービスが限られる場合がある
- 報酬の減少に合わせたネットワーク維持が必要になる
過去に51%攻撃を受けている
Ethereum Classicでは、2019年と2020年に複数の大規模なチェーン再編が発生しました。
攻撃者が一時的に大量の計算能力を確保し、取引所への入金後に別のチェーンを作ることで、二重支払いを行ったとされています。
その後は、ETChashへの変更、MESS、取引所による確認回数の増加、ハッシュレートの上昇などによって対策が強化されています。
ただし、過去に攻撃を受けた事実は、取引所や企業がETCを採用する際のリスク評価へ影響する可能性があります。
取引所への入金確認に時間がかかる場合がある
取引所は、二重支払いのリスクを抑えるため、ETCの入金へ多くのブロック確認を求める場合があります。
ウォレット間では取引がブロックへ含まれていても、取引所では必要な確認回数へ達するまで残高へ反映されません。
必要な確認回数は取引所ごとに異なり、メンテナンスやネットワーク状況によって入出金が停止する可能性もあります。
マイニングに設備と電力が必要になる
Proof of Workでは、マイナーが継続的に計算処理を行うため、マイニング機器、電力、冷却設備、通信環境などが必要です。
ETC価格やブロック報酬が下落した場合、得られる報酬より電気代や設備費の方が高くなる可能性があります。
また、採掘効率の高いASICが普及すると、一般的なGPUだけでは収益を得にくくなる場合があります。
Ethereumと比べて対応サービスが限られる場合がある
Ethereum ClassicはEVMに対応していますが、Ethereum上のすべてのアプリ、ステーブルコイン、ウォレット、開発サービスを利用できるわけではありません。
スマートコントラクトをEthereum Classicへ配置できても、取引に必要な流動性や利用者を確保できない場合があります。
外部サービスへ依存するアプリでは、オラクル、ブリッジ、取引所、ウォレットなどがEthereum Classicへ対応しているか確認する必要があります。
報酬の減少に合わせたネットワーク維持が必要になる
ETCの基本報酬は、500万ブロックごとに20%減少します。
報酬の減少は新規供給量を抑える一方、ETC価格や取引手数料が十分でなければ、マイナーの収益が低下する可能性があります。
収益性が低下してマイナーが他のネットワークへ移動すると、Ethereum Classicへ提供される計算能力が減少する場合があります。
長期的には、ブロック報酬の減少を補える利用量、取引手数料、アプリの需要を確保できるかが重要になります。
現在の状況と今後の展望

2026年8月時点のEthereum Classicは、Proof of WorkとEVM互換性を維持しながら、クライアント開発、手数料制度、開発資金の確保について議論を続けています。
2024年2月にはSpiralアップグレードが実施され、EthereumのShanghaiアップグレードに含まれる実行環境の変更の一部がEthereum Classicにも導入されました。
EthereumがProof of Stakeへ移行した後も、コンセンサス部分を除くEVMの互換性を維持する取り組みが続いています。
2026年にはブロック高25,000,001へ到達し、5M20の第6期へ入りました。
基本のブロック報酬は2.048 ETCから1.6384 ETCへ20%削減されています。
現在検討されているOlympiaアップグレードでは、EIP-1559型の手数料計算、BASEFEE、ネットワーク開発へ利用するトレジャリーなどが提案されています。
ただし、2026年8月時点で関連するECIPはDraft段階です。
手数料のうちマイナーとトレジャリーへ配分する割合、ガバナンス方法、既存の供給方針との整合性などについて議論が続いています。
Olympiaはメインネットへ導入済みの機能ではありません。
実際の導入には、仕様の確定、クライアントへの実装、テスト、監査、マイナーやノード運営者の対応が必要です。
ノードソフトウェアでは、既存のCore-Gethなどに加えて、新しいクライアントの開発や試験も進められています。
Scalaで開発されるFukuiiは、Core-Gethなどと同じブロックへ合意できるかを確認する複数クライアント環境でテストされています。
また、最新のgo-ethereumを基礎としてProof of WorkとETC固有のルールを追加するGeth Classicの開発も進められています。
これらはクライアントの選択肢を増やし、一つのソフトウェアに不具合が発生した場合の影響を抑えることを目的としています。
ただし、試験中のクライアントがすべて本番環境で利用できる段階に達しているわけではありません。
今後は、EVMとの互換性を維持しながら、Proof of Workネットワークとして独自の開発体制を確立できるかが重要になります。
ETCの今後を判断する際は、価格だけでなく、ハッシュレート、マイナーの分散、取引件数、DAppの利用、クライアントの多様性、ECIPの採用状況、取引手数料による収入を確認しましょう。
購入できる取引所

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